斎藤 役割果たすも無援…優勝決められず

[ 2010年11月1日 06:00 ]

<早大・慶大>6回2死一、二塁、慶大・渕上を左飛に仕留めた早大・斎藤だったが納得のいかない表情を見せる

 斎藤無念、Vはお預け。東京六大学野球最終週第1日は31日、早慶戦の1回戦が神宮球場で行われ、日本ハムから1位指名を受けた早大の斎藤佑樹投手(4年)が、ドラフト後初登板。初回に先頭打者本塁打を許しながら7回2失点と好投したものの、打線の援護がなく0―2で敗れた。この結果、1日の2回戦で早大が勝てば4季ぶり42度目の優勝が決まるが、慶大が勝てば、両校が勝ち点、勝率で並ぶため、3日に優勝決定戦が行われる。

【試合結果
ドラフト特集
斎藤佑樹


 大学4年間の総決算。斎藤にとって最後の早慶戦で、勝てば優勝が決まる。しかもドラフト後初登板とあって、スタンドには今季最多の3万3000人の大観衆が詰めかけた。外野席には立ち見客。神宮の杜をわかせ続けた右腕にとってこれ以上ない舞台が整っていたが、好投むなしく今季3敗目。それでも試合後の表情には充実感すら漂っていた。
 「この状況で最高の舞台を用意してもらって楽しかった。ただ勝てなかったのは悔しい。とにかく4年間やってきたことを思い出して、勝ちたいという気持ちでした」
 初回。先頭の渕上に3球目の直球をいきなり右翼席に運ばれた。続く2死満塁のピンチは防いだが、重圧からか硬さが目立った。「優勝したいという気持ちが先走ってしまった」。しかしここからが斎藤の真骨頂。持ち前の高い修正能力を発揮し、2回以降は立ち直った。低めにスライダー、フォーク、ツーシームを集める本来の投球で7回2失点。先発としての役目は果たした。
 28日のドラフト会議では4球団が競合の末、日本ハムに1位指名されたばかり。それから3日。ドラフト後初登板の心境については「いつも通りです。最後の早慶戦に対する思いの方が強かった」と平常心を強調。周囲にも「勝って優勝を決めます」と誓って臨んだ一戦だった。
 ネット裏で観戦した父・寿孝さんからは、前日に心温まるメールを受け取っていた。「4年間ご苦労さま。重圧の中でよくここまで頑張った。あしたは今までの重みを感じず、軽やかにプレーしなさい」。昨秋から先発した慶大戦は4連敗となったが、父の言葉を胸に自分らしい投球はできた。だから敗戦にも下を向くことはなかった。
 優勝はお預けとなったが、慶大より有利な状況に変わりはない。1日の2回戦に勝てば4季ぶり42度目の優勝が決まる。すでに応武監督からの「優勝して胴上げしてくれよ」というお願いに対し「任せてください」と約束もしている。早大の第100代主将として、プロの門を叩くのは天皇杯を受け取ってからと決めている。

 ≪3000人が列 開門30分前倒し≫この日は斎藤が日本ハムに1位指名された10月28日のドラフト会議後の初登板とあって、神宮球場には早朝から多くのファンが詰め掛けた。雨が降る中、約3000人が列をつくったために予定より30分早い9時30分に開門。正面入り口付近では両校のスポーツ新聞が販売されたが、1万部を用意した「早稲田スポーツ」は試合開始前にほぼ完売。副幹事長の山口俊大さん(政経学部3年)は「おかげさまで好調でした」と笑みを浮かべていた。

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2010年11月1日のニュース