さらば名将…ブレーブス終戦で「あした何しよう」

[ 2010年10月13日 06:00 ]

試合後、声援に応えるブレーブスのコックス監督

 【ブレーブス2-3ジャイアンツ】さらば名将!11日(日本時間12日)、プレーオフの地区シリーズ第4戦でブレーブスはジャイアンツに敗れて今季終了。今季限りでの勇退を発表していたボビー・コックス監督(69)にとっては最後の試合となった。ブレーブスとブルージェイズで計29年間指揮を執り、通算勝利数は歴代4位の2504勝。大リーグのみならず、米スポーツ界に多大なる貢献を果たしてきた指揮官が、ついにユニホームを脱いだ。

 敗戦後、球場に響き渡ったのは「ボビー・コール」だった。割れんばかりの大声援。69歳の背番号6はゆっくりと腰を上げてグラウンドに立つと、何度も帽子をかざして感謝の意を示し、小声で「ありがとう」とつぶやいた。
 「全力を尽くしてくれた選手たちを誇りに思う。これからは彼らを、そして野球が恋しくなる」
 有終の美を飾れなかった。6回に一度はリードを奪ったが、またしても逆転負け。世界一の夢はあっけなく破れた。試合後の会見では涙を浮かべて「これがこのユニホームを着る最後とは信じられないが、それが事実」と声を震わせた。
 監督生活29年で積み上げた勝利は歴代4位の2504勝。ブ軍では11年連続を含む14回の地区優勝を果たし、リーグ優勝5回、95年には世界一にも輝いた。コーチや選手時代に薫陶を受けた大リーグ監督はすでに9人も誕生。その哲学は多くの人材に受け継がれている。
 温和な人柄で選手を信頼する心を持つ人情派。ただ試合になると性格は一転し、激しい抗議で退場数は歴代1位の158度。一見不名誉な数字にも見えるが、選手間では尊敬されてやまない。今季初めてコックス監督の下でプレーした斎藤も「退場数は選手を思いやった回数だと思う。もし自分が選手でなくユニホームを着ることがあれば、彼のようになりたい」と話すほどで、試合後歓喜で沸いていたジ軍ナインも、喜ぶのを一時中断して帽子を取って拍手で送り出した姿からも、偉大さがうかがえた。
 今後は相談役としてブ軍を支える予定。「あした何をしよう…。想像もできない」。長らく球界を支えた指揮官の伝説がついに幕を閉じた。

 ≪退場回数、実に158度≫コックス監督の退場回数は158度。ポストシーズンでも3度退場処分を受けている。大リーグ史上、退場処分が3ケタに上るのはコックス監督と、117度で歴代2位のジョン・マグロー(主にジャイアンツ)の2人だけ。いかに飛び抜けた数字かが分かる。ちなみに日本球界では、今季まで楽天監督を務めたブラウン監督が歴代最多で通算12度。

 ≪大リーグ記録は3731勝≫監督通算勝利数の大リーグ記録は1901年から50年間、アスレチックスで指揮を執るなど、計53年間監督を務めたコニー・マック氏の3731勝。2位は1900年代前半にジャイアンツなどで監督を務めたジョン・マグロー氏の2763勝。今季はコックス監督のほか、歴代5位のトーリ監督(ドジャース)、同14位の1835勝のピネラ監督(カブス)が勇退。歴代3位のラルーサ監督(カージナルス)が来季も指揮を執るか注目が集まっている。

続きを表示

2010年10月13日のニュース