36歳でも輝き変わらず…イチロー 10年目で初の全試合先発

[ 2010年10月12日 15:52 ]

 米大リーグの今季のプレーオフに、日本選手は一人も出場することができなかった。活躍した選手もいたが「出場ゼロ」の事実が象徴するように、不本意な日々を過ごした選手も多かった。

 イチローの2010年は厳しく、つらい出来事の連続だった。プレーオフ争いが期待されたチームは早々と脱落。あこがれの存在であり、親しかった同僚のグリフィーも序盤に引退した。信頼していたワカマツ監督が解任されたのは8月。それ以外にも多くのチームメートが去り、マリナーズは低迷を続けた。

 球団史上5度目となるシーズン100敗というどん底の中で、イチローの10年連続200安打は数少ない光だった。7月は打率2割4分6厘の不振だったが、9月に今季初の月間40安打の猛チャージで214まで数字を伸ばした。両リーグ最多安打は5年連続で、通算7度は近代野球ではタイ・カッブ、ピート・ローズの最多回数に並んだ。

 メジャー10年目で初めて162試合すべてに先発し、36歳での全試合出場は史上6人目。勝敗にかかわらず、常に最高の準備とプレーを見せなければならないというイチローのプロとしての哲学が、形となって強く現れたシーズンでもあった。

 チームの得点力不足から、得点は10年間で最も少ない74、また三振は最多の86を数えた。一方で、リーグ5位の42盗塁をマーク。しなやかで強じんな肉体は健在で、高度な打撃術、屈指の外野守備、走塁技術など、武器は今もたくさんある。今月22日に37歳になるイチローは、来季もハイレベルのチャレンジを続ける。(共同)

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2010年10月12日のニュース