横浜オーナー、球団売却交渉「第4コーナー」

[ 2010年10月5日 06:00 ]

 横浜の若林貴世志オーナー(60)は4日、球団親会社、TBSホールディングスの住宅設備大手「住生活グループ」への球団売却問題に関して、交渉が合意間近であるとの見通しを示した。都内で取材に応じた同オーナーは「手応えは第4コーナーあたりかな。粛々と進めています。そんなに時間はかからないと思う」と話した。

 若林オーナーはさらにTBSグループが保有する69・23%の球団保有株式について言及。「株式の分配は難しい。相手が全株買い取ってくれるか一部を残すかにもよる」。住生活GがTBS保有株の全株を買い取らなかった場合、同じく買収に名乗りを上げた家電量販店ノジマなどの名を挙げて「“すき間”ができた場合は、そういった企業が共同出資というか持ち株会社のようになってもらえたらありがたい」と、地元企業が共同株主として球団運営に携わるなどの私見を述べた。そのうえでTBS側としても「野球から手を引くわけではないからウチもいくらか残したい」と、グループ会社のBS―TBSが所有する17・69%分の株式を買い取ることで、球団運営からは完全撤退しない考えも示した。
 さらに住生活G側とは、本拠地を横浜に置くことを前提として交渉を進めていることを明かすと「フランチャイズどうこうというのはない。(横浜本拠地を)受け入れてくれるでしょう」と本拠地の移転については否定。6日のプロ野球実行委員会で他球団に状況を説明、理解を求めていく構えだ。

 ≪球団社長は“存続”訴え≫加地球団社長が親会社が代わっても横浜ベイスターズの存続を訴えた。「もちろん残したい。企業名が入るか分からないけど、ブランド力もあるし資産価値もある」と強調。横浜スタジアムでの試合前は、ファンへ感謝の意を込めて右翼席を訪れているが「(5日)行きますよ。ヤジも覚悟しているし受け止めたい」と語った。また、練習を終えた内川も「まだ何も聞いていない。(本拠地が新潟移転なら)僕自身の将来にもかかわるからチームの説明を聞きたい」と複雑な表情だった。

 ≪横浜市長、球場使用料見直し示唆≫若林オーナー、加地球団社長は午前中に横浜市の林市長を訪問。球団売却について経緯を説明した上で、本拠地を横浜市に残したい意向を示した。林市長は「新しいオーナーがどこになるかは分からないが、安定的な経営ができるよう市として支える」として、本拠地が横浜市に残れば経営を支援する考えを明かした。具体的には「(横浜スタジアムを管理運営する会社の)株主として、市が手伝えることがあれば」と話し、経営を圧迫しているとされる球場使用料の見直しも示唆。そのうえで「必要なら、わたしが交渉相手と会って(球団が横浜に残れるよう)お願いしたい」とまで話した。

 ▼住生活グループ・木寺康広報室長 協議に入っている事実があることは事実。経理、財務、法務を含めて多くを検討していかないといけない。資産価値としての評価もある。こういう案件は慎重にやっていかないといけない。双方のメリットに関して特に株主にキチンとした説明をするのには相応の時間がかかる。

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2010年10月5日のニュース