吉田マジックだ!JR九州74年ぶりV王手

[ 2010年9月7日 06:00 ]

<三菱重工横浜・JR九州>3回1死三塁、田村(左)は中犠飛を放ち、先制のホームを踏んだ三走・只隈(右)とともにベンチの出迎えを受ける

 【第81回都市対抗野球・JR九州8―3三菱重工横浜】「吉田マジック」が成功した。大きな賭けだった。JR九州は準決勝でエース右腕・浜野と左腕・米藤の2本柱を温存する作戦が、ピタリとはまった。吉田監督の表情も自然と緩んだ。

 「ここで勝負をかけようと思っていた。(組み合わせが決まった段階で)考えてました。激戦区に入りましたので」
 先発に抜てきされたのは3年目の岡田。今季の公式戦では初先発。「いつも通り投げることを心掛けました」。140キロ中盤の直球と得意のフォークがさえた。打線の援護も受け、5回2死でソロ被弾するまで無安打に封じた。5回0/3を3安打3失点。十二分に役目を果たした。
 成長させたのもまた、吉田監督の指導だ。投球時に右足に体重を乗せることを意識し、右足裏でマウンドを蹴ることを助言し続けていた。今年に入り、筋力面の充実から可能になった。結果、リリースポイントが安定。この日も4回無死一塁で4番・田城を低めの球で三ゴロに打ち取るなど球威で押した。
 昼食後、指揮官は「自信あるか?」と先発を打診した。「行きます」と岡田は即答。試合前のミーティングではナインに対し、2本柱を休ませたい意向を伝えた。すると打線は5回に一挙5点を奪うなど、今大会ここまで最多だった4点の倍となる8得点。中継ぎ陣も盤石だった。チームの思いは一つになっていた。
 36年の門司鉄道局時代以来、74年ぶりの優勝に王手。さらに2大会連続制覇は88年の東芝以来、22年ぶり。昨秋の日本選手権に続いて年度をまたいだ形では史上初となる。「東芝さんの胸を借りるつもりで頑張りたい」。偉業に挑む吉田監督の顔は、自信に満ちあふれていた。

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2010年9月7日のニュース