イチロー“狙い打ち”2打席連発「いい球場」

[ 2010年8月23日 06:00 ]

ヤンキース戦の9回、この試合3本目の安打となる左前打を放つマリナーズのイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(36)が21日(日本時間22日)のヤンキース戦で、狙い打ちで2打席連続本塁打を放った。初回に単独10位に立つ通算32本目の先頭打者弾を右翼席へ運ぶと、続く3回にもほぼ同じ場所へ5号ソロ。敵地・ヤンキースタジアムの特性を生かした計算通りの離れ業を披露。9回には左前打で15試合ぶりの3安打とし、10年連続200安打へ残り39試合で41本と大きく前進した。

【試合結果


 【マリナーズ5―9ヤンキース】まるで再現映像のように、同じ光景が繰り返された。イチローは1、2打席ともバスケスのファーストストライクをフルスイングした。どちらも高めから甘く入るチェンジアップ。放物線はともに右翼席前から3列目に着弾した。2本目はわずかに右へ4メートルそれたが、打席から110メートルという距離を考えればミクロの誤差だろう。
 「まあ、それなりやね。まあ、普段なら入らないのに入るのは特別。いい球場だよね」。軽い皮肉も込めながら、計算通りの狙い打ちを振り返った。昨年開場した現ヤンキースタジアムは、大リーグで屈指のホームラン・パークとして知られる。今季の1試合当たりの本塁打率も、全30球場中2位の2・76本。特に右中間までは110メートルしかなく左打者に有利で、外壁の構造から強い追い風の通り道にもなっている。最も本塁打が飛び込むスポットに狙い打ち続ける、イチローの技術があるからこそだった。
 6月30日にもヤンキースタジアムでバスケスと対戦。第1打席にフェンス際で右翼手に捕球される大飛球を放ち「あ~狙ってたね」と打ち明けていた。修正を効かせた打撃に「過去のことを生かせないなら、僕らはここにいられないんですよ」と静かに続けた。一昨年までの歴史ある旧スタジアムは、同じ形状ながら特別な感情を抱かせてくれた。「一昨年まではあったんだけどね。ちょっとお客さんの層が変わりましたから。一昨年までとは違う」。感情の特別さは失われたが、形状の特別さはしっかり頭にインプットされている。
 9回の最終打席では守護神リベラの内角に食い込むカットボールを、わざと詰まらせて左前へ落とした。「(2本塁打とは)比べられないけど、他とは違う。やっぱり難しい1人であることは間違いない」とそれまで以上に納得の表情を浮かべた。1試合3安打は15試合ぶりで、マルチ安打は今季50度目に。安打ペースは年間209本に伸ばし、一時は危ぶまれた10年連続200安打は十分射程圏内にある。

 ≪5度すべて2打席連続!≫イチローの1試合2本塁打は昨年5月15日のレッドソックス戦以来、通算5度目。5度すべて2打席連続本塁打。また、初回に通算32本目の先頭打者本塁打を放ち、ヤンキースなどで活躍したチャック・ノブロックを抜き歴代単独10位に。現役ではロリンズ(フィリーズ)に2本差の3位。イチローは日本では8本放っており、日米通算では40本。日本記録は福本豊の43本で、イチローは真弓明信の41本に次ぐ3位に相当する。

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2010年8月23日のニュース