イチローがツイッター報道に激怒「僕に対する侮辱」

[ 2010年8月18日 06:00 ]

オリオールズにサヨナラ負けし、ベンチに引き揚げるマリナーズのイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(36)が16日(日本時間17日)、米国の有名コラムニストのツイッター(簡易ブログ)報道に激怒した。大リーグ専門チャンネル「MLBネットワーク」のピーター・ギャモンズ氏(65)が、イチローがオーナーにボビー・バレンタイン前ロッテ監督を次期監督に推している、とつぶやき、この情報が全米を駆けめぐった。これに対し、事実無根とし、強い言葉で怒りをあらわにした。

 米西部時間午前9時半。名物コラムニストのつぶやきが、全米を駆けめぐった。「イチローがボビー・バレンタインを次期監督にするようにオーナーと話している」――。ニューヨーク・ポスト紙などがこのつぶやきを引用し、一斉に伝えた。

 シアトルの地元記者もすぐさま反応。「そのような事実はない」と球団幹部のコメントを入れて、ツイッターで応酬した。マ軍は球団として同氏に正式に抗議することを発表したが、怒りが収まらないのは、名前を使われたイチローだった。

 「もう、言うまでもないことです。この種の捏造(ねつぞう)がはんらんしたら、スポーツメディアの危機だと思います」

 マ軍は成績不振を理由に、9日にワカマツ監督を解任したばかりで、傘下3Aからブラウン監督代行が昇格。来季は誰が指揮を執るのかに注目が集まっている中でのツイッター報道だった。

 「ownership(オーナー)」とは、編成権を持つズレンシックGMやリンカーンCEO(最高経営責任者)ではなく、球団人事に強い影響力を持つとされる、オーナー企業「任天堂グループ」の山内溥相談役を指すのは明らか。球団幹部を無視した越権行為にもあたるだけに不快感を強調した。

 「山内さんや僕に対する侮辱でもあると思う。彼の思惑が何か分かりませんが、悪意が満ちていると感じる」

 加えて、ツイッターというわずか140字以内の簡易ブログでの報道。ギャモンズ氏は長年、スポーツ専門局ESPNのアナリストとして活躍。05年には野球殿堂入りも果たしており、影響力は大きい。

 「僕でも顔と名前を知っているような人が、こういった小さなツールから煙を立たせるのはいかがなものか。情報に自信があるならば、テレビで働いている人はテレビで伝えるべき」

 普段から自分の言葉に責任を持ち発言しているイチローだけに、噂話が先行しがちなツイッター報道にも疑問を投げ掛けた。

 チームが早々と失速する中、10年連続200安打へギリギリの戦いを続けるイチロー。

 「こんなことで時間とエネルギーを費やしていることがばかばかしい」

 つぶやきに翻ろうされた1日。会見の最後は苦々しげに吐き捨てるしかなかった。

 ▽ツイッター(Twitter)06年7月に米オブビアス社(現ツイッター社)が始めたサービス。ユーザーが140字以内のツイート(Tweet)を投稿する簡易ブログ。Tweetとは英語で「小鳥のさえずり」の意味で、日本語版では当初「つぶやき」と訳されていた。各ユーザーはお気に入りのユーザーをフォローすることで、リアルタイムにつぶやきを見ることができる。ユーザー数は世界に1億人以上といわれる。

 ▽イチローとバレンタイン氏 95年にオリックスの選手と、ロッテの監督として対戦。06年にはWBC日本代表の壮行試合でロッテと対戦した際にグラウンド上で談笑する場面も。イチローが08年に日米通算3000安打を達成した際には、バレンタイン氏から祝福メッセージが添えられた日本酒が届けられた。バレンタイン氏は昨季限りでロッテを退団し、今季からESPNの解説者として活躍中。以前はイチローと同じトニー・アタナシオ氏が代理人を務めていた。

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2010年8月18日のニュース