“マー君後輩”聖光学院・歳内 広陵を完封!

[ 2010年8月13日 06:00 ]

<聖光学院・広陵>広陵打線を5安打完封した聖光学院・歳内

 第92回全国高校野球選手権第6日は12日、甲子園球場で2回戦4試合が行われ、聖光学院(福島)の2年生エース・歳内宏明投手が、今春センバツ4強で優勝候補の一角・広陵(広島)を相手に5安打完封勝利を挙げた。プロ注目右腕の有原航平投手(3年)との息詰まる投げ合い。相手暴投で得た虎の子の1点を守り抜き、3年前の夏に黒星を喫した相手にリベンジを果たした。

【試合結果


 【聖光学院1―0広陵】笑顔もなければガッツポーズもない。5安打完封。歳内の表情は試合前と何ひとつ変わらなかった。今春センバツ4強で、プロ注目右腕・有原との息詰まる投手戦。2年生エースは「相手は力はあるけど気にしませんでした。甲子園のマウンドは、これまでのマウンドと同じでしたね」と淡々と振り返った。
 初の大舞台で宝刀がさえた。今大会注目打者の4番・丸子との2回の初対決。徹底した「スプリット攻め」でフルカウントから空振り三振に仕留めた。最速142キロの直球を見せ球に、141球のうち5割近い64球が今春に習得したばかりのスプリット。5月に右肩を故障し、約2週間のノースロー期間には1日3時間のシャドーピッチングで強い腕の振りを体に叩き込んだ。その鋭く落ちるボールで14のアウトを内野ゴロで稼ぎ、7回に相手暴投で得た虎の子の1点を守りきった。
 「出来過ぎです。ホッとしているけど全国制覇が目標。安心はしていない」。ほとんどが地元・福島出身のチームにあって、ただ一人兵庫出身。中学では田中(楽天)を輩出した「宝塚ボーイズ」に在籍。その先輩がオフに自主トレでボーイズの練習場を訪れた際には、強烈なオーラに魅了された。「(田中は)気持ちが強く、調子が悪いときでも大人の投球で抑えている」。大人の投球。2年生ながら冷静なマウンドさばきの歳内には、そんな雰囲気すら漂う。
 福島大会では同じ2年生の芳賀が背番号1。今大会からエースナンバーを背負う歳内の快投に、斎藤監督も「広陵の壁を乗り越えるのが試練だと思っていた。100点満点。スプリットで手こずらせていた」と最敬礼だ。その横で「小さいころから、あまり感情が顔に出ないんです」。周囲に関西弁の人がおらず、すっかりなじんだ福島なまりで話す背番号1。冷静に、クールに大仕事をやってのけた。

 ▼楽天・田中(歳内のことは)後輩と知っていたのでテレビで見てました。メチャメチャ応援してました。振り逃げで1点入ったときは「よっしゃー」って叫びましたよ。

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日、兵庫県生まれの17歳。小園小3年時に稲名川エンジェルスで野球を始める。小園中では「宝塚ボーイス」に所属し、3年夏に投手で全国大会に出場。聖光学院では1年秋からベンチ入り。最速は143キロ。球種はスプリット、カーブ、スライダー。好きな言葉は「一心不乱」。家族は両親と弟、妹。1メートル81、72キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2010年8月13日のニュース