“唐川2世”中川14K!成田20年ぶりの夏1勝

[ 2010年8月8日 06:00 ]

<成田・智弁和歌山>9回表(智)2死、最後の打者・山本を中飛に抑えガッツポーズする成田・中川

 第92回全国高校野球選手権第1日は7日、甲子園で行われ、開会式に続き、1回戦3試合を行った。第2試合では、「唐川2世」と呼ばれる成田(千葉)の中川諒投手(3年)が、強打の智弁和歌山(和歌山)を相手に6安打1失点、14奪三振の快投。2―1で競り勝ち、チームに20年ぶりの夏1勝をもたらした。千葉県勢としては春夏通算120勝目となった。また、八戸工大一(青森)は、中村晃大二塁手(3年)の決勝打で初出場の英明(香川)を8―4で下し、夏の甲子園初勝利を挙げた。

【試合結果


夏の甲子園白星ランキング

中川諒プロフィール

 三振を取るたびにマウンドで吠えた。9回2死、最後の打者を中飛に打ち取ると、中川は両腕を突き上げた。強打の智弁和歌山から奪った三振は14。前日、OBの唐川(ロッテ)が甲子園初登板でマークした「10奪三振」超えを宣言した背番号1は、初の大舞台で有言実行の快投を演じた。
 「初回に勝てると思いました。14奪三振?凄いですね。狙って取った三振ではないけれど、三振取れてよかったです」
 威風堂々マウンドに立ち続けた。試合前に高野連からつめ割れ防止で右手中指と人さし指に塗ったマニキュアのチェックを受け、試合中には2段モーションの疑いで審判から注意も受けた。それでも全く動じなかった。
 クレバーな投球も光った。7月25日の千葉大会決勝では、東海大望洋からすべて直球で11奪三振。大会前も「直球勝負する」と公言していた。ところが、奪三振の内訳は、直球7、変化球7(スライダー6、チェンジアップ1)。「直球と言い続ければ、相手が意識すると思いました」。プロ注目の3番・西川遥は、4回1死でチェンジアップで三振。1点リードした7回1死一、三塁のピンチでも1番・城山をスライダーで三振に斬ると、続く岩佐戸は一転して直球で空を斬らせた。
 この日の最速は142キロ。変化球を要所で使うことで、持ち味である初速と終速がほぼ変わらない直球がより生きた。普段から遠投を行わず、約40メートルの距離でおじぎしない直球を投げる練習を繰り返す。通常より100グラム重い特殊球を使うこともある。試合前には、09年5月10日の楽天戦(千葉マリン)で、唐川がプロ初完封した試合を収めたDVDを見て、士気を高める。寮の部屋は「101」号室。あこがれの先輩と同じ部屋で、甲子園の舞台を夢見てきたエースが、その実力を証明してみせた。
 「中川に尽きる。直球で空振りを取れるようになった点では唐川に近づいたかな」と尾島監督。その横で中川は「唐川さんの(甲子園の)初戦は完封。僕は1失点。まだまだです」とおどけた。強豪粉砕はどこ吹く風。勢いに乗った新星が、聖地をさらに熱くする。

 ◆中川 諒(なかがわ・りょう)
 ☆生まれ 1992年(平4)7月17日、千葉県茂原市生まれの18歳。
 ☆サイズ 1メートル80、79キロ。握力は右65キロ、左60キロ。視力 両目とも2・0。
 ☆経歴 小3から高根ニュースターズで投手を始める。白井中では、佐倉シニアで3年時にベネズエラの世界大会3位。この経験で、どんな時でも動じないハートを培った。
 ☆高校 1年夏からベンチ入り。昨秋は、左すねを疲労骨折しながら公式戦に登板する根性を見せた。
 ☆好きな言葉 「美」
 ☆家族 両親と妹

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