松井秀 「誰?」のハンターに名刺代わりの13号

[ 2010年7月27日 06:00 ]

レンジャーズ戦の7回、右翼ポール際に2ランを放つエンゼルス・松井秀

 【エンゼルス4-6レンジャーズ】うなりを上げるような低い弾道が、右翼ポール際に飛び込んだ。1―6の7回1死一塁。エンゼルスの松井が3試合ぶりとなる13号2ランを放った。

  「入るんじゃないかと思った。切れるという感じはしなかった」。内角カットボールを右翼席最前列へ運んだ「最短飛距離弾」でも、手応えは十分だった。マウンドにいたのはハンター。実は昨シーズン中にはこんなことがあった。ヤンキース戦で日本メディアが多数集まっているのを見て、近くにいた関係者にその理由を尋ねたところ、「マツイがいるからさ」との返答。しかし、24歳の右腕は「マツイって誰だ?知らない」。このやりとりを伝え聞いた松井は多少ムッとしながらも苦笑を浮かべた。

 そして迎えたこの日の初対戦。まさに名刺代わりの一発を浴びせ、試合後のハンターは「あの時は本当に知らなかった。いい選手」と恐縮。1ストライク3ボールから内角に甘く入った球を運ばれたことに「Stupid pitch(バカな球を投げた)」と10回以上繰り返した。

 9回無死一塁でも右前打し、球宴後初のマルチ安打に加え、今季自己最長タイの5試合連続安打。5試合3発に、「状態は少しずつよくなっているんじゃないですか」。日本ではこの日は「土用の丑(うし)の日」で、松井もうなぎが大好物だが、調子はまさにうなぎ上りだ。その言葉を裏付けるのが三振の減少だ。1三振あたりに要した打席数が4月は5・6、5月は4・6、6月は4・3だったのに対し、7月はここまで7・9。ボールが見え始めている証拠だ。

 この日は試合開始時で気温35・6度という酷暑。それでも練習では長袖のウエアを着てたっぷりと汗をかく。ホテルの自室では就寝時に冷房を必ず切る。さりげない自己管理があるから食欲も落ちない。

 試合には敗れ、レ軍と再び7ゲーム差。「負けは負けで仕方ない。出直す感じでいかなくちゃいけない」。直接対決はまだ10試合も残している。

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2010年7月27日のニュース