「HERO」山口 勝利打点だ勝利投手だ!

[ 2010年7月18日 06:00 ]

<横・巨>お立ち台でしこを踏む横浜・山口(右)と藤江

 【横浜7―5巨人】アナライジング・ベースボール(分析野球)を掲げる横浜・尾花監督も「よもや彼が打ってくれるとは」と驚くしかなかった。梅雨明けで気温40度を超えたグラウンドは同点の8回2死満塁。守護神・山口が抑えたのではなく、打ったのだからスタンドもビックリだ。

 登板前に休憩室で熱血ラグビードラマ「スクール☆ウォーズ」の映画版を観賞して闘志を燃やした。久保の2球目、146キロ直球を叩くと、高いバウンドで一塁手の頭上を越える決勝2点打に。「いや~気持ちいいです。ヒーローになるチャンスなので打って抑えて独り占めしようと。球が速くて1、2の3で振ったら(振り遅れて)右翼へ飛びました。(ドラマで病死してしまう)イソップの分まで頑張りました」。値千金の決勝トライならぬ決勝打。ドラマの主題歌と同じ「HERO」になった山口は口調も滑らかだ。
 同点の8回から6番手でマウンドへ。その裏2死二、三塁で巨人ベンチは8番・武山を敬遠して満塁策を取った。柳ケ浦高で5番に座った山口だが、プロ5年目で過去2安打で打点0。セオリーなら代打の場面だが、尾花監督は「(凡退しても)9回をゼロで抑えてくれれば1番から攻撃が始まるからサヨナラがある」とそのまま打席に送った。そしてそんな指揮官の思惑を見事に裏切った。
 ここまで19セーブの山口はチームから唯一球宴に出場する。「代表として選んでもらった。先輩に甘えるのではなく自分が頑張っていかないと」。自覚も芽生えた若き守護神は胸を張った。
 ◇「スクール☆ウォーズ」 1984年10月から約半年間、TBS系列で放送。伏見工ラグビー部と同部監督の山口良治氏をモデルにした熱血学園ドラマで現在もカルト的人気がある。校内暴力などがはびこる川浜高校の弱体ラグビー部が数々の苦難を乗り越え、全国優勝を果たすまでの感動ストーリー。主役の滝沢賢治を山下真司が演じた。ラグビー元日本代表の大八木淳史、平尾誠二を思わせる人物が登場。脳腫瘍(しゅよう)で亡くなる通称「イソップ」が涙を誘った。

 ≪山口 大魔神以来15年ぶり≫山口(横)が勝利打点&勝利投手の活躍。横浜では、清水が4月29日広島戦と7月10日阪神戦でマークしており今季3度目。リリーフ投手では、95年4月21日広島戦で佐々木主浩が記録して以来15年ぶりだ。清水と合わせた月間2人は、96年9月に関口伊織と野村弘樹が記録して以来。

 ▼横浜・藤江(6回無死満塁で救援。3人で打ち取り)きのう(16日)本塁打を打たれたので、リベンジと思って気合で行った。打者の皆さんが打ってくれるので、投手も一丸で抑えられた。

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2010年7月18日のニュース