金子千 完封勝ちにも笑顔控えめ

[ 2010年7月1日 22:31 ]

 【オリックス10―0楽天】大量リードに沸くベンチから、金子千は一人表情を崩さず九回のマウンドへ向かった。もう1カ月以上も勝利から見放され、この試合までの自責点と負け数はリーグワースト。「チームに迷惑ばかり掛けている。完封よりも一つ勝つこと」。盤石の104球で三塁を踏ませず、今季3度目のシャットアウトだったが、笑顔は控えめだった。

 強い気持ちは直球に乗り移った。多彩な変化球を駆使して打ち取る投球が信条だが、一回から速球で押す。九回先頭の嶋も外角の147キロで空振り三振。「真っすぐが良かったので、ほかの球も良くなった。真っすぐを効果的に使えた」。四回のピンチで中村紀にはカットボール。直球の軌道から鋭く曲がって芯を外し、二ゴロ併殺に仕留めた。
 大量失点を続け、いつしか岡田監督からも「エース」と呼ばれなくなっていた。この試合に背負うプレッシャーも相当だったはずだ。その中での快投に「シーズンはまだ半分。ここからが本当の勝負」。座右の銘は、自身のブログタイトルでもある“顔晴れ”と書いて「がんばれ」。ほんの少しだけだが、久々にエースの顔が晴れたように見えた。

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2010年7月1日のニュース