鉄人恐るべし集中力!金本、12年ぶり代打弾

[ 2010年4月29日 06:00 ]

8回、代打・金本は本塁打を放つ

 【阪神9-3ヤクルト】偉大な記録が止まっても気持ちが切れることなどない。8回。代打に立った阪神・金本の強烈な打球がバックスクリーン右へ伸びていく。「鉄人」であることを証明するには十分過ぎる一撃だ。

 「使ってもらっている以上は結果を残さないとね。本当、素直にうれしい」。98年8月21日の巨人戦以来、プロ通算6本目の代打本塁打。ゆっくりダイヤモンドを回る金本に笑顔はない。
 大記録を自らストップさせた18日の横浜戦(横浜)から7試合。ベンチでじっと出番を待ってきた。終盤のたった1打席への準備。今まで10年以上もプレーボールからゲームセットまで試合に出続けた男にとって、それは別世界と言ってもいい。「1打席という中で打つのはなかなか難しいと思う」。真弓監督も言ったが、モチベーションは連続フルイニング出場しているときから少しも落ちていなかった。
 マウンドの高木は2イニング目。7回の投球を頭に入れて、1ストライク1ボールから外角やや低めに来たフォークをギリギリまで引きつけてフルスイングした。1試合分の集中力を1打席、その1球に集約。金本にしかできない究極の打撃がそこにはあった。
 筋肉の一部が切れている右肩は、無理すれば他の筋肉も部分断裂する可能性もあった。キャッチボール再開の見通しも不明だ。しかし、試合前の練習で守備にも就き、送球以外の練習はすべてこなしている。たとえ1打席でもフル出場時と同じ準備で臨む。和田打撃コーチは「4打席でも1打席でも集中力が同じ」と感嘆した。肩を休ませたことで、この東京遠征では重さ1キロの鉄アレイで右肩強化のトレーニングも再開。スタメン復帰はDH制のある交流戦のパ球団主催試合だが、真弓監督は「タイミングも合ってきた。(今後が)楽しみやね」と言った。
 この一発が区切りの通算2300安打。連続試合出場は1644試合に伸び、試合後は虎党の大歓声に左手を高く上げて応えた。鉄人の歩みは止まることはない。

 <公式戦終了後に表彰へ>加藤コミッショナーは、金本の連続フルイニング出場の世界記録が1492試合で確定したことに「素晴らしい記録です」とあらためて称えた。特別表彰については「あらゆる表彰に値する活躍をしていますが、贈られる方も贈る方も納得するタイミングというのがあります」と説明。シーズン途中で、連続試合出場を継続中ということにも配慮して公式戦終了後の表彰となりそうだ。

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2010年4月29日のニュース