新監督男泣き!慶大・竹内大助ノーヒットノーラン

[ 2010年4月18日 06:00 ]

<慶大・東大>ノーヒットノーランを達成した慶大・竹内大

 【慶大7―0東大】東京六大学野球春季リーグ戦第2週第1日は17日、神宮球場で行われ、慶大の2年生左腕、竹内大助投手がチーム開幕戦となる東大戦でリーグ史上21人目、22度目となる無安打無得点を達成した。3四球、13奪三振による快挙で竹内大はリーグ戦初勝利。元巨人、中日で今季から指揮を執る江藤省三新監督(67)に初白星を贈った。リーグ戦初勝利での無安打無得点は89年秋の慶大・若松幸司以来21年ぶりの快挙だった。

【試合結果


  派手なガッツポーズはなかった。長い歴史を誇る東京六大学リーグで史上21人目、22度目の快挙も、竹内大ははにかみながらあいさつの列に加わった。そしてベンチ前へ。2年生左腕は待ち受けた67歳の新監督にウイニングボールを手渡した。
 「本当はウイニングボール欲しかったです。でもまさかの9イニング。監督も初勝利ですしね」
 自身にとってもリーグ戦登板2試合目で初勝利した大事な記念球。それでもこの1球は江藤監督に渡したかった。
 初回3者連続三振スタート。直球は最速140キロも丁寧に低めを突いた。右打者の外角に落とすチェンジアップ、ひざ元への鋭いスライダーで三振の山を築いた。5回以降は1人の走者も許さず、3四球13奪三振で快挙を達成した。中京大中京出身。当時は中京商だった江藤監督の後輩にあたり、昨夏甲子園を制した堂林(広島)の1学年先輩だ。甲子園経験もあるが背番号10で、公式戦登板は7回が最長の控え投手だった。しかし今季の慶大は中林(JFE東日本)らが卒業。投手陣は全員リーグ戦未勝利。オープン戦で結果を残した竹内大は、開幕投手に抜てきしてくれた大先輩の期待に男気で応えた。
 「何とも言えんよ」と目を潤ませた指揮官は「きょうは気分がいい。何でも聞いてくれ」と続けた。04年秋以来優勝から遠ざかる母校再建を託され、昨年12月に慶大史上初の元プロ監督に就任した。過去の実績にとらわれず、下級生を含めて横一線で戦力をチェック。チームを一から作り直した。自身慶大3年の64年春、二塁手として立大戦で渡辺泰輔(元南海)の完全試合を見届けた江藤監督は「選手時代に完全試合。監督としてノーヒットノーラン。運命を感じるね。竹内は先輩孝行だよ」と笑った。
 厳しい指導の一方で、40歳以上年の離れたナインたちとの触れ合いを重視する。「練習以外は冗談交じりに接してくれる。盛り上げてくれるので気分も乗ります」と竹内大。男泣きした指揮官の熱いハートに引っ張られ、慶応ボーイが11季ぶりの優勝へ最高のスタートを切った。

 ◆竹内 大助(たけうち・だいすけ)1990年(平2)6月3日愛知県半田市生まれの19歳。小3で野球を始める。愛知・成岩中では軟式野球部。中京大中京1年秋からベンチ入り。08年センバツ2回戦(明徳義塾戦)で先発も背番号10。慶大1年の昨秋からベンチ入り。立大2回戦で初登板初先発した。リーグ戦2試合1勝1敗、防御率1・98。家族は両親と妹2人。1メートル77、75キロ。左投げ左打ち。

 <東大 打線にあせりが…>不名誉な記録で昨秋から4戦連続零敗の御手洗新監督は「竹内君の変化球に対応できなかった。回を追うごとに打線にあせりが出てきてしまった」と肩を落とした。3回は先頭の山越が四球で出塁もけん制死。唯一の得点機も逃すと後は凡打を繰り返すだけの内容に「出直してきます」と指揮官は元気なく球場をあとにした。

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