坂本逆転満弾!タクさんへ「最高の誕生プレゼント」

[ 2010年4月16日 06:00 ]

<巨・神>7回2死満塁、逆転満塁ホームランを放った坂本に抱きつく内海

 【巨人5-2阪神】天国に届け!巨人・坂本勇人内野手(21)は15日、阪神戦で1点を追う7回2死満塁で逆転のグランドスラムを放った。8日の同戦で勝負を決定付ける3ランを放った長野に続いて、またも阪神バッテリーの初球を叩いての1発。同日は7日にくも膜下出血で死去した木村拓也内野守備走塁コーチ(享年37)が生きていれば38歳の誕生日。巨人ナインは一丸で勝利でもぎ取り、同一カード3連敗を逃れ、中日との同率首位を守った。

【試合結果


 後ろ髪をなびかせて一塁ベースを回った坂本が、左中間席へ打球が飛び込んだのを見届けると、右拳を大きく突き上げた。それだけうれしかった。満塁弾だったプロ1号から2年…。再びのグランドスラムは価値ある一発となった。

 「このチャンスで打たないと男じゃない、と思って打席に入りました」

 1点を追う7回2死満塁。初球の高めから真ん中外寄りに入るスライダーに体勢を崩されながら、下半身の粘りでバットの芯できっちりとらえた。試合前の練習ではバットを逆手で持ってティー打撃を実施。バットをあえて持ちにくい状態にすることで下半身主導のフォームを確認する。そして絶好機でも初球から積極的に振れたのには確かな読みがある。マウンド上のメッセンジャーは直前の脇谷に四球を与えており、「投手心理からも、初球はストライクが来るだろうと思っていた」と振り返った。目下、17試合連続安打中で・381と高打率をキープしている。

 悔しさをぶつけた。前日には同点の8回の守備で一塁への送球がそれて3―6―3の併殺を完成できず、その後に決勝点を奪われた。この日も初回に失策を記録。それだけに原監督も「きのうの試合で悔しい思いをしている。負けん気の強さが出た。あの場面で初球から振れるのが成長の証。見事」と目を細めた。

 負けられない理由はほかにもあった。4月15日は木村拓コーチの誕生日。その特別な日に試合前には主将の阿部を中心に、勝利をささげようとナインは誓い合っていた。坂本にとって同コーチとは08年に102試合、09年に62試合で二遊間を組んだ。開幕前に受けた言葉は「エドガーと会話しろ。二遊間はコンビネーションが大事だぞ」。ベンチ裏ではエドガーに積極的に声を掛け、相手投手の特徴などを教える坂本の姿がある。この日のウイニングボールは広島市内に住む同コーチの遺族に送られる予定だ。

 最後に坂本は言った。「(本塁打は)詰まって、泳いだので入るとは思わなかったけど、タクさんの力がホームランにしてくれた。最高のプレゼントになりました」。天国に届けた一撃に、若武者は胸を張った。

 ≪坂本の逆転満塁弾は初めて≫坂本(巨)が逆転満塁本塁打。満塁弾は08年4月6日阪神戦のプロ1号以来2本目だが、前回は4-0とリードした場面から。逆転満塁は初めてだ。坂本は3月30日横浜戦でもチームの3連敗を阻止する決勝犠飛。今季連敗脱出試合で8打数5安打(打率・625)、1本塁打、5打点と気を吐いている。今月はラミレスが1日横浜戦、10日中日戦で満塁本塁打を放っておりチーム3本目。巨人の月間3本の満塁弾は01年7月(清原2、元木)以来9年ぶり9度目の球団タイ。チーム月間最多満塁本塁打は80年8月西武、96年5月近鉄の5本。セでは81年6月阪神、99年6月横浜の4本となっているが、今月残り12試合で上乗せできるか。

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2010年4月16日のニュース