662日ぶり守った!松井秀、3連敗も確かな収穫

[ 2010年4月10日 06:00 ]

初回、マウアーの打球を追うエンゼルス・松井

 【エンゼルス1-10ツインズ】エンゼルス・松井秀喜外野手(35)が8日(日本時間9日)、ツインズ戦に4番・左翼として出場した。公式戦で守備に就くのは08年6月15日アストロズ戦以来662日ぶり。フルイニングを守って無難に打球も処理。念願だったDH兼外野手としての再スタートを切った。1安打も好機では凡退して、チームは開幕戦白星の後は3連敗。悔しい滑り出しとなったが、松井の完全復活は着実に近づいている。

 緊張感の中で踏みしめる芝の感触が心地よかった。公式戦で2年ぶりの守備。「あまり打球は飛んでこなかったですけど、9回守れたという意味ではよかった」。松井の周辺に飛んだ打球はすべて安打。初回、左中間二塁打は中堅に任せた。5回の決勝2ランを含む2本塁打は頭上を越えた。打球を処理したのは8、9回と2度の左前打だけ。ただ、守らせてもらえなかった昨季に比べればハードルを一つ越えた。その表情には充実感がにじんでいた。
 662日ぶりの守備に向けて入念に準備した。試合前はレネキー・ベンチコーチがクラブハウスの松井のロッカーを訪れてマンツーマンで約10分間のミーティング。ツインズ攻撃陣のデータが書かれた資料を手に「守備位置の確認をした」と松井。この日は気温も高く使用しなかったが、状況に応じていつでもホットクリームを塗れるように、練習中からつねに気候をチェックしている。
 地道な努力は「歩き方も走り方も意識して変えた」ことから始まった。左ひざをかばう歩き方が体に染み付き、痛みが消えてもバランスは崩れたまま。日常生活から左右の足に均等に力がかかるよう心掛けた。昨夏から筋肉のゆがみを正常に戻す治療を受け、ひざにかかる負担は減っている。
 週1、2試合の起用を目指しているソーシア監督も「よかったよ。守り方を知っているのは分かっているからね」と守備に関しては合格点を与えた。打っては5回2死一、三塁の好機では一ゴロに倒れてチームも3連敗。その中で8回に左前打で意地は見せた。
 試合後のクラブハウス。アイシングした両ひざをさすりながら「あした、問題なければいい」と松井。守備復帰を最大の条件として移籍した赤ゴジラは確かな収穫を胸に「この流れを止めなくちゃいけない」と力強く前を向いた。

 ◆エ軍・リーギンスGMに聞く
 ――ヤンキースは松井に守備はさせなかった。エ軍では守備復帰に反対意見はなかったか。
 「ない。彼がプレーすることは可能だし、松井の体の状態を逐一チェックし、彼が体の状態をどう感じているか、対話を途切れさせないようにしている。毎日続ける」
 ――ヤ軍時代の松井の治療データは?
 「把握している。DH専任と外野もプレーするのでは体の疲れ方が違う。対話を通じて体の状態を保てるよう、ペース配分も考える。シーズン後半戦にいい状態でプレーできるようにする」
 ――DH、守備と休養のバランスは。
 「休みが必要と言うなら与えるし、完全休養も必要ならそうする。だが打席に立ち続けることが最優先だ。もちろん松井が3試合連続で守備につくことはない」
 ――松井が守備に就くことで、ハンターやリベラらの外野手もDH起用で負担を軽減できる。
 「それが基本的なアイデアだ。ローテーションで起用していく」

 ▼松井の守備 公式戦はヤンキース時代の08年6月15日アストロズ戦に左翼でフル出場して以来。巨人時代は主に中堅手として、00~02年にゴールデングラブ賞を3年連続受賞。ヤンキース入り後も堅実な守備が光り、03年は13補殺を記録。05年は最少の3失策だった。大リーグ通算の先発出場は左翼548試合、中堅76試合、右翼は6試合となっている。

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2010年4月10日のニュース