木村拓コーチのように…Gナイン全身全霊プレー

[ 2010年4月8日 06:00 ]

木村拓也コーチが死去し、黙とうする阿部主将(中央)ら巨人ナイン

 【巨人3-0阪神】誰もが木村拓コーチのように、一つのプレーに全身全霊を傾けた。主将の阿部は2安打。同い年の谷も代打で中前打を放った。悲しみを乗り越えるために。全力で戦い、勝つ。それだけがナインにできることだった。

 「何とか、と思っていましたが、残念というか…」。試合前に宿舎で対応した高橋はそこまで話すと言葉を詰まらせ、大粒の涙をこぼした。あまりにも悲しい別れ。この日朝、ナインはマネジャーらから木村拓コーチ死去の悲報を聞いた。それが現実とはどうしても思えなかった。今季から一塁を守る高橋は「キャンプからいろんなことを教わりました。まだまだ教えてもらわなければいけないことが、いっぱいあったんですが…」。04年はアテネ五輪でも一緒にプレー。「何でもできる、困った時は、という選手でした。苦労も多かったと思う。ああいう選手は今後なかなか出ない」。頼れる存在だった兄貴分。言葉からは無念の思いがにじみ出ていた。

 入団年度こそ違うが、谷は「回復すると信じて奇跡を祈っていた。信じられない」と声を震わせた。同コーチは06年途中にトレードで巨人移籍。谷も07年から巨人でプレーし「お互いに一緒にいたから、ここまでやってこられた。いつも明るくて、いずれは上に立ってやっていく人間だと思っていた」と振り返った。

 「堅実な守備で、タクさんが守っていたら安心して投げられた。凄く頼もしくて、最高の先輩でした」と選手会長の内海。そして阿部は「タクさんも分からないうちに倒れて、病棟でも“またあすは野球に行かなきゃ”と思っていたと思う。僕らもタクさんの気持ちの分までやるしかない」と、ナイン全員の思いを代弁した。巨人ナインは若くして逝った同コーチの遺志を受け継いでいく。

 ▼巨人伊原ヘッドコーチ 親の死に目にも会えないのがプロ野球選手。グラウンドの中では割り切ります。

 ▼巨人滝鼻オーナー 木村拓也コーチの訃報を聞いて、胸は悲しみでいっぱいです。誰もが知っている八面六臂(ろっぴ)の活躍は、自らの体のすべてを使ってファンを魅了する万能選手そのものでした。奇跡は起こらなかったけれど、キムタクの19年間はプロ野球にかかわる人たちの誇りです。永遠に忘れることはできません。

 ▼巨人脇谷(今季初スタメンで2二塁打に2四球で全打席出塁)タクさんが後ろにいて二塁を2人で守っている感じがした。よく“頑張れ”と言われていたので、きょうに限らず打ってタクさんを安心させたい。

 ▼巨人内海 信じられない気持ちでいっぱい。堅実な守備で、拓さんが守っていたら安心して投げられた。ムードメーカーとして、いい時も悪い時も声を掛けていただいた。凄く頼もしくて、最高の先輩でした。

 ▼巨人谷 回復すると信じて、奇跡を願っていた。信じられない。同い年でプロに入って、巨人に入ってからもお互い一緒にいたから、ここまでやってこられた。

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2010年4月8日のニュース