チーム一丸で逆転勝利…原監督「祈るしかない」

[ 2010年4月3日 06:00 ]

試合中、険しい表情の原監督(左)

 【巨人5-4広島】勝利会見も笑顔はない。くも膜下出血で倒れた木村拓コーチについてコメントを求められた巨人・原監督は、しばらく下を向いて言葉を探し、数秒後に「祈るしかないです」と声を絞り出した。

 試合開始直前に首脳陣、ナイン、スタッフ全員がロッカーに集まり手をつなぎ合った。原監督は「われわれには祈るしかない。この輪が解けた瞬間、試合に集中しよう」と動揺するナインに語りかけ、目の前の試合に集中することを厳命。ひとつになったチームは4点ビハインドから逆転勝利を飾った。
 昨季は広島時代の99年以来10年ぶりに捕手を務めるなどして7年ぶりの日本一に貢献し、今季から入閣した同コーチに寄せる信頼は大きい。内外野ならどこでも守れるため「便利屋」のイメージが定着していた現役時代の同コーチには、事あるごとに「タク、オレはおまえを二塁手だと思っているからな」と尊敬の念を伝えていた。また、キャンプインとなった2月1日の夜間練習では、緒方外野守備走塁コーチにノックのやり方などを熱心に聞く同コーチの姿も知っていた。監督とコーチの仲となってからは、試合前のベンチで談笑することも多かっただけに「意識が戻ってないらしい。(06年に)トレードで巨人に来て、とにかく研究熱心だった。祈るしかないです」と沈痛な面持ちで語った。
 同コーチは選手にとっては兄貴分のような存在。主将の阿部は「悲しいし、言葉が出ない。今も(病床で)闘っていると思う。きょうは勝って祈るしかないとみんなで決めていた。あきらめないで元気な姿で帰ってくることを想像しながらやっていきたい」。チームとして、今できることは白星を贈り続けることしかない。

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2010年4月3日のニュース