帝京サヨナラ!前田監督、劇的50勝!

[ 2010年3月31日 06:00 ]

<帝京・三重>9回裏2死三塁、田口は左前に同点の適時打を放ち、指を突き上げ雄叫び

 第82回選抜高校野球大会第8日は30日、甲子園球場で2回戦3試合が行われ、ベスト8が出そろった。第1試合は帝京(東京)が延長10回無死満塁から、鈴木昇太内野手(3年)の三塁強襲安打で三重にサヨナラ勝ち。前田三夫監督(60)は史上3人目となる甲子園春夏通算50勝を達成した。

【試合結果


 【帝京3―2三重】決着をつけたのは、背番号1を背負う一塁手・鈴木だった。延長10回無死満塁から三塁を強襲する内野安打。三塁走者の園田が小躍りしながら生還した。1点を追う9回2死三塁から1番・田口の左前適時打で追いついての2試合連続1点差勝利。1回戦でも本塁打を含む3安打と活躍したヒーローは「(監督の)50勝ですね。試合中は夢中でしたが、今思い出しました」と声を弾ませた。
 ナインは劇的なサヨナラ勝ちで名将に区切りの勝利をプレゼントした。高嶋監督(智弁和歌山)、中村監督(PL学園)に続く史上3人目の甲子園通算50勝。「厳しい試合だったねえ。お客さんは面白かったでしょう。50勝になったかという気はありました。選手に感謝ですよ」。前田監督は感慨深げに振り返った。
 37年の監督生活で、春夏通算3度の優勝を成し遂げてきた。これまで全国の剛腕投手を強打で打ち崩してきた歴史があるが、その一方では軟投派にもろさを見せる弱点もあった。昨秋の明治神宮大会準決勝では東海大相模のエース一二三(ひふみ)の多彩な変化球の前に5安打で零敗。指揮官は「緩い球も投げられる投手を出せば帝京に勝てるとよく言われる」と苦悩を語る。
 だが、60歳になっても探求心は尽きない。打撃練習では、ボールの半分が渦巻き模様となっている特種なゴムボールを使用。空気抵抗により不規則な変化を生み出す球を打つことで、変化球打ちの感覚を学ばせた。3年前からは約25メートル離れた場所に打撃マシンを設置し、スローボールを打つ練習も始めた。この日は13安打中10本がスライダーを打ったものだった。
 2月上旬、昨年11月に他界した父・清忠さん(享年91)さんが眠る千葉・袖ケ浦の墓前を訪れ、2度目の春制覇を誓った。試合後に届いたウイニングボールには「みんなのものですから学校に置いておきますよ」と笑った。頂点まであと3勝。名将にとって50勝はまだ通過点に過ぎない。

 <23年ぶり東京勢がそろってベスト8>帝京と日大三が準々決勝に進出した。東京勢2校がともにベスト8に残ったのは、87年に関東一が準優勝し、帝京が8強入りした87年以来、23年ぶり5度目。ちなみに東京勢同士の決勝となると、72年の日大桜丘―日大三の1度しかない。

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2010年3月31日のニュース