大会ナンバー“腕”一二三 侍魂で勝つ!

[ 2010年1月30日 06:00 ]

選手の先頭に立ってジャンプしてセンバツ出場を喜ぶ東海大相模・一二三

 第82回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の選考委員会が29日、毎日新聞大阪本社で行われ、出場32校が出そろった。最速149キロ右腕で、今大会No・1投手の呼び声高い東海大相模・一二三(ひふみ)慎太投手(2年)は、高校の大先輩でもある巨人・原辰徳監督(51)へ白星を贈ることを誓った。また、嘉手納、興南が選出され、センバツ史上初めて沖縄勢2校が出場することになった。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

【センバツ出場校


 気持ちの準備はできていても、握った拳に自然と力が入った。夢にまで見た甲子園。一二三は興奮を抑え切れなかった。
 「やっぱりうれしいです。でも甲子園で150キロを出せても勝てないと意味がない。いかに勝てる投球をするかです」
 直球の最速は149キロ。それでいてカーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップと多彩な変化球はどれも一級品だ。その完成度には中日・石井スカウトが「普通あれだけ変化球を投げれば、真っすぐのスピードは落ちるはずなのに。超高校生級」と絶賛するなど、早くも今秋ドラフト1位候補の呼び声も高い。
 「延長15回、翌日9回、その再試合で翌日9回。最大3日33回は連投させる意識で体をつくらせている」と話す門馬監督の方針で冬場も連日ブルペン入り。昨秋関東大会4試合32回を1人で投げ抜くなどスタミナはあるが、さらなる高みを目指して春までに鋼の体をつくり上げる。雨中の昨秋神宮大会決勝では大垣日大に敗れた。痛恨のボークが原因とあって、練習ではわざわざブルペンのプレートに水をまき、その悔しさを思い出しながら投球練習を行う。すべてに対処できる準備を進めているのも、頂点を見据えているからこそだ。
 東海大相模の大先輩、巨人・原監督は昨春、侍ジャパンを率いてWBCを連覇。戦いぶりは心に刻み込んである。合宿所の監督室に掲げる背番号83のジャパンのユニホームを見て魂を燃えたぎらせる一二三は、原監督が3・26に今季開幕戦を迎えるとあって「大会5日目(25日)までに初戦を勝利すれば原さんも喜んでくれるはず」。父・義則さん(55)の実家がある熊本県八代郡を中心にわずかに存在する珍しい名字。先祖は肥後の国でならした侍だ。一二三自身、昨秋神奈川大会で右人さし指のツメを負傷。痛みを抱えたまま関東大会を制し、チームを明治神宮大会準優勝へ導くなど体にはしっかり侍魂が受け継がれている。
 「甲子園で勝つためにここまでやってきた」
 伝統ある同校で史上初となるエースで主将を務める若き侍。打倒・一二三に闘志を燃やして挑んでくるすべてを蹴散らす。この春の主役はこの男しかいない。

 ◆一二三 慎太(ひふみ・しんた)1992年(平4)9月29日、大阪生まれの17歳。美木多中では3年夏にボーイズリーグのジュニアホークスのエースとしてジャイアンツカップ優勝。表彰式で巨人・原監督と初対面した。東海大相模1年夏からベンチ入りして、昨秋から背番号1。遠投は110メートル。握力は両手ともに65キロ。家族は両親。1メートル85、84キロ。右投げ右打ち。

 ▼巨人原監督(東海大相模OB)甲子園は高校球児にとって、この上ない舞台です。グラウンドで大いに暴れて力を発揮してください。大会までまだ時間があるので、しっかり準備をして、良いコンディションで開幕を迎えてください。

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