祭壇にバット「大好きでした」…中田“恩師”に飛躍誓う

[ 2010年1月20日 06:00 ]

福井市内で営まれた小林繁氏の通夜

 巨人、阪神の元投手で17日に心不全で急死した日本ハム投手コーチの小林繁(こばやし・しげる)氏(享年57)の通夜が19日、福井県福井市内の千福寺りんどうホールでしめやかに営まれ、巨人時代の同僚だった新浦寿夫氏(58)ら約300人が参列して別れを惜しんだ。また、小林氏と昨年2軍で苦楽をともにした中田翔内野手(20)は亡き恩師に今季の1軍での活躍を誓った。葬儀・告別式は20日、正午から同所で営まれる。

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 凍える寒さの中、午後6時から弔問客が列をなした。あまりにも早過ぎる死。突然の訃報を悼み、悲しみに暮れた。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督、江川事件の当事者でもある江川卓氏らから約250本の供花が届けられる中「さいかい」メンバーの新浦寿夫氏は唇をかみしめて言った。
 「(死にも)順番制があったらと思うぐらい早過ぎるよ」。さいかいメンバーとは巨人史上唯一の最下位となった1975年当時の主力投手による親睦会。“再会”との掛け合わせでネーミングされ、堀内恒夫氏ら10人で構成、その中でも小林氏は最年少だった。新浦氏によると、最近では昨年1月に同メンバーで顔を合わせ、その席上で小林氏が3度目の結婚を報告。「皆さんの娘さんより若くて恥ずかしいですよ」と照れながら結婚指輪を見せてくれたという。戒名の「球愛院釋静繁」(きゅうあいいんしゃくせいはん)はその静子夫人が名付けた。関本四十四氏も「とてもショック。オレの方が3つ上なのに…」と1年後の再会が果たせず無念さを隠せなかった。
 そして中田から「ありがとうございます」とのメッセージが添えられたバットも届けられた。昨年2軍投手コーチを務めた小林氏。打者であっても、将来の球界を背負う逸材にプロの心構えを叩き込んだ。昨年の5月。中田が守備に就く際、バッテリーの間を横切ると「そんなところを通るな。キャッチャーの後ろを通らなければ駄目だ!」とカミナリを落とした。
 そして2度としないことを約束させ、こう言った。「そういうことを意識せずにできれば、おまえは一流になれる」。中田の不振時には千葉・鎌ケ谷の勇翔寮の自室に呼び寄せ「プロはやられたらやり返すんだ」とゲキを飛ばした。中田は言う。「やんちゃを許してくれる珍しい指導者。だから大好きでした」。1軍で活躍することが小林氏への最大の恩返し。そんな日が訪れた時、小林氏は天国からほほ笑んでくれるだろう。

 ◆主な弔問客 川藤幸三、関本四十四、新浦寿夫、藪恵壹、藤井純一、清水雅治、大村巌、川名慎一、徳田吉成、水上善雄、中島輝士、山中潔、荒井幸雄、多田野数人、山田修義、野田征稔、林博美(順不同、敬称略)

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