「ヤクルト・荒木大輔監督」来季誕生へ!!

[ 2010年1月6日 11:00 ]

ヤクルト監督に来季昇格するとされる荒木大輔投手コーチ(右)。左は高田監督

 ヤクルトが来季新監督に荒木大輔投手コーチ(45)を昇格させる方針であることが5日、分かった。高田繁監督(64)は今季3年契約の最終年とあって球団では、OBで08年からは投手コーチとして新戦力育成などの手腕を発揮する同コーチに白羽の矢を立てた。指導者となった今でもファンの間で根強い人気があるのも球団にとっては大きな魅力で、神宮の杜に「大輔フィーバー」が再び巻き起こる。

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 球団にとっては待望の荒木新監督誕生となる。昨季3位と躍進してチームをCS初進出へと導いた高田監督は今年で契約最終年を迎える。球団はこの日、2010年の仕事始めを行ったが、これまで次期監督の絞り込み作業の中で、関係者は「総合的に次期監督は荒木投手コーチが筆頭候補」と認めた。
 荒木投手コーチは早実時代に5季連続甲子園出場して全国に大フィーバーを巻き起こし、82年ドラフト1位でヤクルトに入団後も絶大な人気を誇った。右ひじの故障などに悩まされて現役通算39勝に終わったが、96年の引退後は野球解説者、インディアンス傘下の2Aアクロンにコーチ留学も経験。02年にはアジア競技大会、インターコンチネンタル杯などで日本代表投手コーチも務めた。
 04年に西武で投手コーチ就任。ヤクルト時代に師事した野村監督の教えを基に、自ら故障に苦しんだ経験も踏まえた指導で松坂の後継者として涌井を育て上げた。08年に復帰した古巣でも先発として伸び悩んでいた松岡を中継ぎに配置転換。貴重なセットアッパーに成長させた。チームの主軸、館山が「とてもやりやすい環境をつくっていただいている」と話すなど、その指導力に加えて選手からの信望も厚い。
 さらに球団ではファンへの訴求力も期待している。ヤクルトの観客動員数は荒木コーチが現役時代、故障から4年ぶりに復活登板を果たした92年に球団最高の247万7000人を記録するなど、87~97年の11年間で200万人台を10度記録したが以降は年々減少。球団経営参画40周年の昨年こそ前年比4万652人増としたが133万2366人と、全盛期にはほど遠かった。現在でも全国で根強いファンが多い荒木コーチが指揮官となれば集客面に大きな影響力を及ぼすのは確実で、球団では「荒木新監督」を名実ともにチームの切り札として考えている。
 さらに、今秋ドラフトでは荒木コーチの早実の後輩でもある早大・斎藤佑樹投手(21)が1位指名候補。仮に斎藤が入団すれば、自身の経験も踏まえて黄金ルーキーの精神的な支えとなることもできる。荒木&斎藤と世代を超えたスーパースターの共演は話題を呼ぶのは必至だ。
 高田監督は今年7月で65歳。野村楽天前監督の退任で球界最年長指揮官となった。今季の順位次第で続投の可能性もあるが、世代交代は自然な流れ。今季も含めて“高田野球”を3年間目の当たりにする荒木コーチへの禅譲ならチーム内への影響も少ない。あのフィーバーから四半世紀を超え、いよいよ「ヤクルト・荒木監督」が誕生する。

 ◆荒木 大輔(あらき・だいすけ)1964年(昭39)5月6日、東京・調布市生まれの45歳。調布リトルでエースとして世界選手権優勝。早実では5季連続甲子園出場。1年夏は背番号11ながら5試合中4試合に完封して準優勝。82年ドラフト1位でヤクルト入団。95年に横浜へ移籍して96年に引退。通算成績は180試合で39勝49敗2セーブ、防御率4・80。右投げ右打ち。1メートル79、85キロ。家族は夫人、長女。

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