甲子園で学んだ…菊池 プロは“球速より制球力”

[ 2009年12月13日 06:00 ]

プロでは毎試合トーナメントのつもりで投げたいと決意を語る菊池雄星(左)と栗山英樹氏

 【栗山英樹氏が直撃!雄星の真実 第3回】花巻東(岩手)からドラフト1位で西武に入団した菊池雄星投手(18)。高校野球が終わり、徐々にプロで投げるイメージを膨らませている。プロの試合のDVDを観賞する中で、プロとアマの一番の違いは、スピードではなく制球力にあることを確信した。来春2月のキャンプまでにやるべきことは明確になっている。なお、インタビューの模様はテレビ朝日系列「GET SPORTS」(13日24時15分から。一部地域を除く)で放送される。

 高校時代には毎日欠かさずに野球ノートにメモを書いてきた。壁に当たった際にはノートを見返し、成長の糧としていた。
 栗山 野球ノートは今でもつけている?プロに入ることで、その内容は変わってきましたか?
 菊池 今でも毎日メモを書いています。最近は時間が増えたので、必ず毎日1試合はプロの試合のDVDを見るようにしています。
 栗山 どうやったら抑えられるとか考えて見ているんですか?
 菊池 これまでは漠然と見てましたけど、来年からはこのバッターをどうしようかとか、イメージはしていますけど、ここに投げようとか、このバッターは良いスイングだなあとか、ここのコースは苦手なのかなとかですね。
 栗山 プロ野球を見て感じることはありますか?
 菊池 投手はコントロールが違いますね。ストライクは狭いですけど、どんどんストライクを取っていますね。自分は150キロ出ても打たれるのに、135キロの低めの球で抑えられていたり。やっぱりスピードじゃないなと思いますね。どこに行けばどうなるとか、体が分かっている感じがします。どうなればここに行くとか。ボールをコントロールする感覚が凄いなと思います。
 栗山 ピッチングの中でこういうところを学んでおきたいとかはありますか?
 菊池 コントロールを大事にしているくらいですかね。体のつくりを考えています。臓器がこっちにあるから重心がこうなるとか。今は球速にこだわりはないので、勝てればいい。135キロでも120キロでも、とにかく勝てればいい。そうするには何が大事かを考えた時にコントロールとか変化球が大事になってくる。

 周囲の期待を感じながらも、プロ野球に対する自らのスタンスは確立されている。
 栗山 プロ野球は長丁場のシーズンになりますけど、その辺りはどのように考えますか?
 菊池 リーグ戦ですけど、自分の中ではトーナメントという意識です。もし負けたら切り替える。負けたらそこで終わりだという気持ちで、毎試合毎試合、1日1日過ごしたい。リーグ戦で1試合負けたからいいやではなくて。(投手は)勝つことが宿命付けられているポジションだと思うんで。毎試合トーナメントですね。
 栗山 投手をやっている以上は速い球を投げたいという思いはありますか?
 菊池 まだまだ筋肉がないので。真っすぐにはこだわりたいとは思いますけど、そこだけに集中する必要はないと思います。勝てればいいと思っているので。何でもそうだと思うんですけど、方法じゃなくて手段だと思うんですよね。真っすぐを速くすれば勝てるという方法はないんですよね。真っすぐを速くして勝てるかもしれないという手段であって。トレーニングもこうすればこうなるという方法はない。もしかしたらこうなるかもしれないという手段なんですよね。真っすぐを速くしたら勝てるわけではないので。
 栗山 高校生で150キロを投げるのはあまり見ない。でも甲子園で打たれた。そういう実感がある?
 菊池 甲子園で学んだのはそれが一番大きかったです。
 栗山 だから他にやることがある。だから体のつくりとかを勉強しているんですね?
 菊池 そうですね。面白いですね。今一番は体のつくりを考えることですね。
 栗山 今の段階で開幕ローテーションをイメージしている?
 菊池 周りの皆さんは1日でも早くと思っていると思うし、自分でもそうなんですが、野球人生長いですし、とにかくケガをしない体をつくりたい。なおかつできるだけ早く1軍に行きたい。開幕1軍とかまだまだそういうレベルじゃない。投げすぎて壊したりとかはいけない。周囲の期待も分かりますけど、自分自身がどこに足を置くか。上を見すぎてもしようがない。現状でどの位置にいるのかを考えたいですね。

 ▽菊池の155キロVTR 8月20日に行われた全国高校野球選手権3回戦、東北(宮城)戦に先発。9回1死から投じた119球目が甲子園の電光掲示板で154キロを計測。ネット裏ではロッテのスピードガンで自己最速となる155キロを計測した。菊池は9回を投げ6安打1失点。試合は4―1で勝利し、チームを岩手県勢では41年ぶりとなる8強に導いた。

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2009年12月13日のニュース