マルチないぶし銀 引き際も“自分らしく”

[ 2009年12月13日 09:52 ]

 現役最後の試合となった11月7日の日本シリーズ第6戦(札幌ドーム)。木村拓はベンチ裏で原監督と抱擁を交わし、うっすらと目に涙を浮かべた。

 シーズン終盤に引退の決意を固めて自身初の日本一に挑んだが、第4戦で守りのミスを犯し、打席でも2三振。その後、出場機会はなかったが「最後までせっぱ詰まった場面で出してもらえて幸せだった。最後に失敗したけど。でもオレらしいよね」と言った。予定のなかった引退会見も、試合後に清武球団代表と話して急きょ決めたという。「“引退試合もせずに”と言う人はいるけど、それでも幸せだから」。いぶし銀は最後まで自分の生きざまを貫いた。
 来季は1軍内野守備走塁コーチに就くが「コーチは選手を育てるものじゃない。育つのを助けられればいい」と話す。自身も投手以外をすべて守り、両打ちに挑戦して19年間を戦い抜いた。プロを地で行った男らしい、若手へのメッセージだった。

 ◆木村 拓也内野手(きむら・たくや)37歳、19年目。宮崎南甲―日本ハム―広島。90年ドラフト外。最高年俸8500(09年)。
 ▼通算成績 1523試合、打率・262、53本塁打、280打点、103盗塁。
 ▼思い出 現役最後の年に日本一になれたこと。

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2009年12月13日のニュース