ヤンキース年俸調停申請せず…松井秀“厳冬”

[ 2009年12月3日 06:00 ]

 大リーグでFAの権利を行使した選手に対する旧所属球団側からの年俸調停申請期間が1日(日本時間2日)で締め切られ、ヤンキースは松井秀喜外野手(35)との年俸調停を申請しなかった。

 ヤ軍キャッシュマンGMは「今はオーナーと年俸総額の話し合いをしている段階」としたが、球団がFAによって移籍した選手の補償を受けるための仕組みが年俸調停制度。球団が最初に申請し、選手も調停に応じた場合には、その時点で旧所属球団と今季年俸の8割以上での再契約が保証されて残留が決まる。一方で、高額年俸などの条件面から慰留の意思がなくても、球団が申請することで、選手が他球団に移籍した場合でも翌年の新人ドラフトで戦力補償ともいうべき上位指名権を得られる。
 その中で今回、ヤ軍が松井に対して申請しなかったのはデメリットが多すぎるからだ。松井は今季年俸が1300万ドル(約11億3100万円)で、調停に応じて残留となれば1040万ドル(約9億円)以上の支払いが生じる。これは来季の年俸総額を抑える方針を打ち出しているヤ軍にとっては大打撃だ。さらに、そのFA選手のランク付けによって得られる補償も、松井はランク外で補償なし。調停を申し入れる利点がない。
 調停申請は選手側も応じれば残留が決まるという点で、球団がFA選手として再契約の意思があることを明確に示す側面もある。だが、ヤ軍は申請の見送りによって、松井が他球団に移籍してしまう可能性よりも、それ以上に通常の残留交渉で契約条件を抑制することを最優先した形だ。

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2009年12月3日のニュース