松井秀2戦連発!左方向へ「不思議な」代打弾

[ 2009年11月2日 06:00 ]

<フィリーズ・ヤンキース>8回2死、投手の代打で出場の松井秀喜は左越えに本塁打を放ち、ベンチのナインに迎えられる

 【ヤンキース8―5フィリーズ】ヤンキースの松井秀喜外野手(35)が31日(日本時間11月1日)、フィリーズとのワールドシリーズ第3戦で3点リードの8回に代打出場し、2試合連続の本塁打を放った。シリーズ史上24本目の代打弾は、4年ぶりの左翼への一発。チームは8―5で勝利し、対戦成績を2勝1敗とした。ジラルディ監督はDH制のない敵地での先発起用を断念し、第4、第5戦もベンチスタートが確実だが、代打打率リーグトップの松井の一振りは最強の切り札となる。

 会心の手応えを残しながらも、打った松井は半信半疑だった。7―4の8回2死でようやく声が掛かった打席。マイヤーズの真ん中高め148キロを叩いた。左翼への打球はグンと伸び、スタンドで跳ねた。「長い間、逆方向に本塁打を打ってなかったので、何か不思議な感じ」。雨で開始が1時間20分遅れ、月が替わった11月1日の0時12分に放った代打弾で熱戦にトドメを刺した。
 「逆方向に打ったという感覚ではない。振り遅れて、芯に当たって、結果的に向こうに飛んだ感じ」。ワールドシリーズ通算3号は、05年10月7日エンゼルスとの地区シリーズ第3戦で放って以来、4年ぶりとなる左方向への本塁打。1年目の03年オフ以降「左への長打力が必要」とキャッチボールを左手で行い、はしも左手で持つなど、打球を押し込む際に重要な左手を徹底的に鍛えた時期もあった。だが、06年に左手首を骨折。以降は逆方向へのアーチは途絶え、レギュラーシーズンでは通算140本塁打中、4本しかなかった。
 「もともと逆方向に距離が出るタイプじゃない。スイングや球をとらえるポイントなど、多くのものがそろってあそこまで飛んだと思う」。あくまで偶発的と解説したが、結果的にかつて求めた理想の打撃をワールドシリーズの大舞台で体現した。不調時に必ず出る、体の開きが早まる悪癖も収まっている証。右でなく“左へ引っ張る”スイングに「状態はいいと思う」と手応えを深めた。
 敵地でDHがなく、ポストシーズン連続先発出場は52試合で途切れた。ここ数日の守備練習を見守ったジラルディ監督は試合前、米メディアに「松井の打撃力は惜しいが、守備はリスクが高すぎる」と先発起用はもちろん、途中から守備に就かせることにも消極的な考えを示した。4、5戦もベンチスタートが決定的だが、1打席に懸ける集中力の高さは今季ア・リーグトップの代打打率・381が証明している。
 「世界一にはあと2勝。もうそれしかない」。契約最終年での悲願達成へ。チャンピオンリングを手にするために、松井は一振りに懸ける。

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2009年11月2日のニュース