屈辱…松井秀 目の前でA・ロッドに敬遠四球

[ 2009年10月24日 06:00 ]

<エンジェルス・ヤンキース>7回2死二塁、アレックス・ロドリゲス(左から2人目)が敬遠の四球を与えられ打席に入る松井秀喜(右)

 【ヤンキース6―7エンゼルス】6年ぶりのワールドシリーズ進出に王手をかけていたヤンキースの松井秀喜外野手(35)は22日(日本時間23日)、エンゼルスとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦で7回に同点の中前適時打。直後に逆転のホームを踏んだ。しかし、救援陣の乱調で6―7と再逆転されて迎えた9回2死無走者から目の前でアレックス・ロドリゲス内野手(34)が敬遠の四球で歩かされる屈辱。試合はそのままエ軍が逃げ切った。第6戦は24日(同25日)にニューヨークで行われる。

 エ軍ファンもどよめいた。7―6とエ軍が1点リードして迎えた9回2死走者なし。捕手が立ち上がり、Aロッドを敬遠。本塁打を打たれても同点という場面で、わざわざ逆転の走者を出塁させる定石破りの采配。ネクストバッターズサークルにいた松井も「びっくりしたね。その前の打席の(敬遠)は頭にありましたけどね」。フラッシュバックしたのは1992年夏の甲子園。明徳義塾戦で5打席連続で敬遠されたが、唯一塁上に走者がいなかった7回2死でも歩かされた。この時も相手のリードは1点。あれから17年…。立場は歩かされる方から勝負される方に変わっていた。
 「早い回であれば敬遠はしない。あの状況ではロドリゲスに本塁打さえ打たせなければよかった。彼(Aロッド)に続く左打者と、われわれの可能性に懸けた」。策士として名高いエ軍のソーシア監督は説明したが、一つ間違えば、逆転を許しシーズンが終わる文字通りのギャンブル作戦だった。
 マウンド上の左腕フエンテスは今シリーズ第2戦で1点勝ち越した直後の11回、Aロッドに同点ソロを被弾。それだけに、今ポストシーズンで3本の同点弾を含む5発、打率・400の主砲より、打率・269、1本塁打の松井との勝負を選択。松井はこの屈辱にも冷静に打席で対応して四球を選んだが、結局、同点に追い付くことはできなかった。
 ただ1点差に迫った直後の7回2死二塁でもAロッドが敬遠されたが、ここでは松井がバットを折りながらも、執念の中前適時打。12打席ぶりの安打が値千金の同点打となり、珍しく一塁ベース上で両手を叩くと、右手人さし指を自軍ベンチの方へ向ける“ガッツポーズ”で感情を爆発させた。この回一挙6点の猛攻で1度は逆転に成功したが、勝利を手中にすることはできなかった。
 「負けたのは残念だが、最後までいい野球ができたし、あさってまたいい形で迎えられる。ホームでできるのは必ずいい影響がある」。この日の9回に受けた屈辱はニューヨークで“倍返し”にする。見くびってもらっては困る。

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2009年10月24日のニュース