直球系を狙って“杉討ち”3アーチ

[ 2009年10月17日 06:00 ]

<楽・ソ>3回2死三塁、中島俊哉の左越え2ランホームランにベンチ前の前に立ちガッツポーズの池山隆寛コーチ(中)ら大喜びのナイン

 【楽天11―4ソフトバンク】アドレナリンにはプラスとマイナスの作用がある。その力を味方にしたのが楽天打線なら、杉内は自らコントロールするすべを失った。短期決戦だからこその確かな読みが、3本塁打を浴びせての左腕攻略につながった。

 1本目は初回、1番・高須が杉内の2球目、146キロ直球を左翼へ先頭打者本塁打。
 高須 1球目を見て“速い”と思った。出合い頭ですけど、偶然当たってくれてよかった。
 2本目は2死一塁からセギノールが、初球の直球系の138キロカットボールを中堅右に運んだ。
 セギノール 自分に対して彼(杉内)は常に挑戦してくる。だから直球だろうと思っていた。
 直球狙い。それが事前に各打者に徹底して指示されていた。狙っていたからこそ“出合い頭”でもスタンドに運ぶことができた。「こういう試合は相手も力勝負でくる。ウチの打者はいつも以上の気合で、しっかり打ち返してくれた」と橋上ヘッドコーチ。「はまったね。理想的な攻撃だった」と振り返った。
 なぜ直球なのか。杉内と対戦した7月22日(ヤフードーム)。黒星こそ喫したが5回1/3で6点を奪った。しかし9月13日(同)には1点しか奪えず完投勝利を許した。「実は7月は変化球主体だったのが、(打たれたことで)前回はストレート中心に変わった」と橋上コーチ。その上で読んだ。短期決戦は「どうしても余計な力が入るもの。チェンジアップのような抜く球は制球が難しくなる。だから今度も直球主体のはず」――。普段以上にアドレナリンが出ることで思わぬ力が入る。腕の振りすら変わる。初回の2本塁打は、杉内には珍しくいずれも高めに抜けたものだった。
 3本目、3回の中島の2ランも初球の144キロ直球を叩いた。杉内は43球中、カットボールを含めた直球系のボールが7割近い30球。狙いを徹底し、迷わず振り抜く。「狙い球が注文通りに来て、バッチシだったみたい。スコアラー中心に陰のヒーローだ」と野村監督。あふれるアドレナリンをプラスに変え、CSの流れすらも引き寄せた。

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2009年10月17日のニュース