ノムさん男泣き…爆勝後には「くそったれ!!」

[ 2009年10月17日 06:00 ]

<楽・ソ>7回無死、ソロを放った山崎武志を笑顔で出迎える野村克也監督

 【楽天11―4ソフトバンク】パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージが16日、開幕。球団創設5年目でCS初出場の楽天はソフトバンクを11―4で下し、第2ステージ進出に王手をかけた。今季限りで退任する野村克也監督(74)は、試合前にナインに退団報告を行い男泣き。集大成となる戦いでは采配がズバズバと的中し、初開催となった仙台のファンを沸かせた。17日の第2戦は田中将大投手(20)が先発。一気の連勝で札幌切符をつかむ。

 杜の都に「ノムラ・コール」が響いた。今季最多の2万1303人が詰めかけたスタンドが勝利に揺れる。「コールが起きたから応えないわけにはいかないよ」。野村監督は満面に笑みをたたえて歓声に両手を振った。
 「まず1勝。あと1つが大変だな、これが。すんなりいってくれればね。いい攻撃してたんじゃない」
 監督生活24年目の集大成となる“意地シリーズ”でつかんだCS初白星。知将は動き回った。3回に4点目を挙げて、なお1死一、二塁。打者セギノールのカウント0―1から重盗を仕掛けた。「サインというかね。杉内が油断しててね。(二塁走者の)鉄平がタイミングを計っていたから“来い、来い”って」。直後に右犠飛で加点した。
 6回1死三塁では三塁走者に代走・聖沢を送り、打者の草野に「足の速い走者が出てるから、何とか転がせ」とわざわざ耳打ち。中前二塁打となったが、1点をもぎ取りにいく作戦が生きた。捕手には8月に左脇腹肉離れで離脱し、この日登録された藤井を起用。ナインも野村監督から叩き込まれた積極的な走塁を随所に見せた。「日ごろめったにやらないことをね。もう最後だから」。采配には楽天での4年間の思いが詰まっていた。
 試合前には涙で声を震わせた。ミーティングで「心を一つにするチャンスはここしかない」とナインを鼓舞し、11日に正式に退任通告を受けたことを告げた。「私事で申し訳ないが、解雇されることになりました。“日本シリーズに行っても続投はない”って言われたよ。みんなと一緒に(来年も)野球をやりたかった。…すみませんでした」。未練、怒り、無念…。「悔し涙だよ」。自らの口で退任を選手に告げなければならない怒りと屈辱が入り交じった男泣きだった。
 もちろん、最後はぼやき締めだ。「一生懸命やって結果を出してクビ。血も涙もないってこういうこっちゃ。次に来る監督がそんなに素晴らしいなら引くんだけど。意地ですよ、くそったれという」。南海時代から自身ポストシーズン初戦はこれで7連勝だ。
 泣いて、動いて、笑って、ぼやいて…。第1ステージ突破へ王手をかけた指揮官は胸を張った。「すべてをマー君(田中)に託す。やってくれるでしょう」。ノムラの戦いは、まだまだ終わらない。

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2009年10月17日のニュース