「やろう、外だ」!主将の一声で“雨中出陣式” 

[ 2009年10月17日 06:00 ]

降りしきる雨の中行われた練習で、ヘルメットの水滴をぬぐうヤンキース・松井秀喜

 エンゼルスとのリーグ優勝決定シリーズ初戦を前日に控えたヤンキースは15日(日本時間16日)、異例の“雨中出陣式”で決戦に備えた。通常なら室内練習場での調整となるほどの雨が降る中、主将のジーターの一声でずぶ濡れになりながらグラウンドで全体練習。試合当日も降雨が予想されるとあって、5番・DHで先発予定の松井秀喜外野手(35)も全身から湯気を立ち上らせて最終調整した。

 誰もが耳を疑った。降りしきる雨でグラウンドには水が浮き、松井も室内での調整を覚悟していた。ところが、雨空を見上げたジラルディ監督から最終確認を求められたジーターの答えは「やろう、外だ」だった。
 シートがはがされ、気温6度の寒さの中でびしょ濡れになりながら、異例の“雨中出陣式”を敢行。「そういう状況で試合することに慣れようということだと思います。寒さや雨は今までもあったし、気をつけられることをすればいい」。フリー打撃で快音を響かせた松井が狙いを説明した。
 16日(同17日)の初戦開始時間、午後8時の降水確率は90%。予想気温は5度だ。雨天中止の可能性もあるが「天気予報はすぐ変わるから。おそらくプレーするだろうし、その準備はできた」と指揮官。中止の可能性を頭から消し、本番に近い状況を想定して通常通りのメニューをこなした。捕手のモリーナは「濡れると球は重くなるし感触も違う。打席でも気になるし直前に確かめられたのは大きい」と話した。
 本来は午後1時だった練習開始を、雨を避けるため午前11時に繰り上げた。想定外の早い降り始めに見舞われたが、動じることなくしっかりと体を動かした。慣れない新球場の敵地にもかかわらず、雨を嫌って室内で調整しただけで引き揚げたエ軍とは対照的だった。
 エ軍には05年の地区シリーズで敗れ、昨年まで5年連続負け越し。今季も5勝5敗の五分と相性は良くない。「投手陣も攻撃陣も強力。もちろん強いことは分かっている。相手より多くホームベースを踏むだけです」と松井。いてつく雨の中、たぎらせた蒸気が決戦にかける気持ちを何よりも雄弁に物語っていた。

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2009年10月17日のニュース