立正大淞南 14人でインフルに勝った

[ 2009年8月20日 06:00 ]

<東農大二・立正大淞南>14人で校歌を歌う立正大淞南ナイン

 【立正大淞南(島根)4―2東農大二(群馬)】14人で歌う校歌が心に響いた。初出場のチームは逆転で8強進出。4人の仲間はそこにいなくても立正大淞南は全員で戦い、そして勝ち抜いた。

 「ベスト8が目標だったので、うれしい。疲れはあったけど最後まで投げるのがエースです」
 エース崎田が熱き思いをボールに、バットに乗せた。6、8回を除いて走者を背負いながら持ち前の粘りを発揮。6回2死二塁からは中前適時打を放ち、8回には右翼へ同点犠飛を打ち上げた。
 「人数が減ったまま負けては悔いが残る。きょうは勝ちたかった」。15日の華陵(山口)戦で甲子園初勝利。それは「見えない敵」との闘いの始まりだった。ベンチ入りの伊地、飯島、中尾の3選手と練習補助員2人が新型インフルエンザに感染。18日までにチームを離れ自宅に戻った。初戦で「3番・遊撃」だった山脇もこの日、発熱を訴え、ベンチ入りメンバーは18人から14人に。守備位置も打順も大幅な変更を余儀なくされた。
 「次は自分がかかるんじゃないか、と思ったら、夜寝るのが怖かった」と話す林田は山脇の代役で三塁からほぼ未経験の遊撃へ。三塁には、県大会でも出場していない猪股が入った。2人は初回に失策を犯し、先取点を奪われた。だが、チームを離れたメンバーから送られた激励のメール、そしてテレビ観戦する姿を思い出した。長打3本が連なった9回の勝ち越し劇は、林田が放った三塁打が口火。全員野球の精神が生きていた。
 アクシデントをはね返しての快進撃。山脇は体調が回復すれば、準々決勝の出場は可能だ。8強入りで国体出場の権利も得た。飯島に代わって一塁に入った大蔵は言った。「これで国体に行ける。戻ってきたみんなと一緒に、またやれる」――。

 ≪東農大二 加藤力尽きた…「9回は頭が真っ白」≫東農大二は終盤の逆転負けで、初の8強入りはならなかった。同点の9回2死無走者から、エース加藤がまさかの3連続長打を浴びて2失点。群馬大会初戦から8試合74回を1人で投げ切った左腕は「9回は頭が真っ白になった。全部自分1人の責任です」と涙をこらえて責任を背負い込んだ。加藤監督は「加藤と心中になってしまったが、15年ぶりに1勝できたし、うちの戦いができた」と2試合無失策の内容にうなずいていた。

続きを表示

2009年8月20日のニュース