イチローから横取り!ゴジラ“神の手ホームラン”

[ 2009年8月15日 06:00 ]

<マリナーズ・ヤンキース>8回、松井秀の大飛球に飛び付くが、ファンにボールを奪われるイチロー

 【ヤンキース11―1マリナーズ】これぞ4番の仕事だ!ヤンキースの松井秀喜外野手(35)が13日(日本時間14日)、マリナーズ戦で2本塁打を含む4安打5打点と大暴れした。休養したA・ロドリゲスに代わって4番・DHで先発。3回に18号2ランを放つと、8回には松井の打球をフェンスに駆け上がって捕球しようとしたイチロー外野手(36)をファンが妨害する“アシスト”もあり、4番では初のマルチ本塁打を記録。チームの大勝に大きく貢献した。

【ヤンキーススタジャン


 セーフコ・フィールドは背番号55の独壇場だった。ヤ軍が9―1と大量リードした8回2死一塁。左腕オルソンが投じた外角低めのスライダーをとらえた松井の打球は右中間席へ一直線に伸びた。だが、最後にそれを阻止しようとする男がいた。

 ▼松井 走りながらだったので、ちょっと分からなかったですけど、“お願い、やめて!”と思いながら走ってました。

 ▼イチロー 見せどころ分かってんな~と思いながら走った。いけた、と思った。

 猛ダッシュで8フィート(2メートル44)右翼フェンスに駆け上がった背番号51は、上半身を乗り出し絶妙のタイミングでグラブを差し出した。その時だ。最前列の男性ファンがグラブでイチローの左腕を払いのけ、ボールを横取りしてしまった。

 面白くないのはイチローだ。序盤から一方的な展開になったことで、実は“ホームランキャッチ”を狙っていたのだ。通常より深めの守備位置。しかも、同じ日本人の松井の打球が飛んできた。これ以上ないシチュエーションだったが、まさか地元ファンに“妨害”されるとは…。

 ▼イチロー まあ、少なくともチャンスは十分ありましたね。打ったバッターも、守ってる人も、見せどころを分かってたのに、ファンが分かってなかったね。僕も守ってて、あれぐらいしか楽しみがないからね。

 マ軍ファンの“アシスト”を受けた松井は3回の18号2ランに続く、メジャー自身4度目の1試合2本塁打に「(スタンドに入って)良かったです」と笑った。休養したA・ロドリゲスに代わり5月7日以来の4番で、2年ぶりの4安打と4年ぶりの5打点。ジラルディ監督も「マツイの夜だった」と絶賛した。

 “イチロー越え”の2発は松井の好調さを証明する打球だった。1本目はカーブ、2本目はスライダーと球種は違うが、いずれも低めのゾーン。今季は19本塁打しているが、このうち13本は低めを打っている。ロング打撃コーチは「昨秋に左ひざの手術をして、シーズン序盤は体重移動がスムーズにできていなかった。しかし、今は軸足に体重を十分乗せてから体を回転させている。いい時の力強い打撃が戻った」と指摘。左ひざに体重が乗り、体を沈み込ませてスイングしているからこそ、低めの球を遠くへ飛ばすことができている。
 「いい1日になりましたね。今年一番いい試合だったかもしれないですね。走者がいて回ってくるのは多いですからね、4番はね。打てば打点が増えるし、打たなきゃ増えない。きょうは典型的なそういう試合ですよ」
 試合後は普段行わない右ひざもアイシングして入念なケアを施した。「ひざは良かったり悪かったりだけど、幸い打つことに関してはそんなに影響はない。その辺は大丈夫です」。日本時代の定位置だった4番で、松井が存在感を見せつけた。

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2009年8月15日のニュース