岩田 プロ入り初完封で今季初勝利

[ 2009年7月30日 06:00 ]

<神・横>最後の打者・黒羽を二ゴロに打ち取った岩田は、今季初勝利に力強くグラブをたたく

 【阪神8-0横浜】勝者の笑顔はなかった。今季5度目の先発で昨年10月12日以来の白星をプロ入り初完封で飾った。それでも阪神・岩田の表情は厳しいままだった。

 「必ず甲子園(のお立ち台)に戻ってくると思いながら日々練習していた。勝てたことはうれしいですがチームに迷惑を掛けた。これからもっと勝てるようにしないと」

 苦しい場面の連続だった。6回までは毎回の安打を許し、4回のほかは得点圏に走者を背負った。ピンチで頼ったのは「僕の武器はスライダー」と最も自信のある球。右打者の内角低めに、食い込むように沈む変化球を要所で使った。初回2死三塁で村田を、6回2死一、二塁で武山を、得意の球で空振り三振に仕留めた。124球。7安打を浴びながら得点は許さなかった。

 昨季10勝を挙げて、飛躍が期待された今季。盤石なオフを過ごしながら、WBCで左肩を痛めた。6月10日に1軍に復帰したものの初勝利は遠く「勝てないかもという葛藤(かっとう)はあった」と悩んだ。その中で徹底的に体をいじめて、弱気を取り払い、巻き返しを期す大事な一戦で結果を残した。

 WBC代表13投手の中でしんがりの今季初勝利。真弓監督も「危なげないとは言えない。先頭打者を出し過ぎ。働いてもらわないといけない投手」とまだ評価は厳しい。「投げる試合に勝って優勝に貢献したい」。最後まで笑顔がなかったことこそが、左腕の強い決意表明だった。

 ≪新井27試合ぶり1発≫阪神の新井が、2年ぶりの2ケタとなる10号3ランを放った。6月16日以来、27試合ぶりとなる一発に「入ってくれと思いながら走っていた」と声を弾ませた。2―0の3回2死一、二塁。高めに浮いた変化球を豪快に左越えへと運んだ。前夜の9回の同点打に続く活躍に「チームに迷惑を掛けていたので、打ちたかった」。続く打席でも左前打を放ち「一打席、一打席を大事にしたい」と表情を引き締めた。

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2009年7月30日のニュース