米初!イチロー「出ちゃいましたね」サヨナラ打

[ 2009年7月30日 06:00 ]

ブルージェイズ戦の9回、大リーグでは初のサヨナラ打を放ち、スウィーニー(5)と抱き合って喜ぶマリナーズのイチロー

 【マリナーズ4-3ブルージェイズ】マリナーズのイチロー外野手(35)が28日のブルージェイズ戦で自身メジャー初のサヨナラ安打を放ち、チームの連敗を4で止めた。意外なことにメジャー通算1953安打目で初のサヨナラ打。2試合連続、今季15度目の1試合3安打で打率は・366まで浮上。後半戦に入って思わぬ失速となったマ軍だが、好調な天才のバットだけが頼りだ。

 初めて味わう歓喜の輪にのまれても、イチローはどこまでもイチローらしかった。

 「あの輪の中にいるともみくちゃになって、あすの試合に出られない可能性も出てくる。僕はそういう対策を考える」。同点の9回、無死満塁から2打者が凡退して迎えた打席で快打。沸き返るナインの中で、足を踏まれないように考えるイチローは、余韻に浸る間もなく自分を守ることで必死だった。

 この打席まで1952安打しながらサヨナラ打なしは、コーラ(メッツ)の742安打を引き離す現役最長。「それだったら最後まで(サヨナラ打が)なくてもいいかな、というのはありましたね。まあ“出ちゃいましたね”という感じです」。大リーグでは押し出し四球が02年9月にあったが、サヨナラ打はオリックス時代の99年7月以来、実に10年ぶり。最大の理由は1本出れば、という9回好機では必ずといっていいほど勝負を避けられてきたからだ。1番打者ながら、今季も11敬遠はリーグトップ。この日は2死満塁と相手に逃げ場がなくなった“絶好機”を逃さなかった。

 らしさが凝縮された一打だった。初球、外角低めへの際どいカーブを見逃しストライクと判定された。「僕の頭にはいくつかのレベルがある。一番厳しいのをAとするなら、3段階あってその真ん中くらいの球」。続く同じコースへのカーブを空振りして追い込まれながら、3球続けられたさらに低いカーブにあえて手を出した。「ヒットにできるわけだから、別に振ってもいいんじゃないの、僕は」と右手1本を思い切り伸ばし、遊撃手と中堅手の真ん中に落とした。「何本も打ってきてますから、ああいうのは。驚くような技術ではないですね」。対照的にワカマツ監督は「どんな球も打てる体勢になっている。あれだけ体が前に移動しながらコンタクトできるのは凄いとしか言いようがない」と興奮を隠せなかった。

 首位と4ゲーム差で前半戦を折り返しながら、7・5ゲーム差まで落ち込んだチームを救った。2試合連続3安打で打率・366は今月3日以来。2位マウアー(ツインズ)とは8厘差に広げた。プレーオフ進出を見失いかけたチームに力を与えるサヨナラ打だった。

 ◆イチと一問一答
 ――サヨナラの瞬間は?
 「1番足の遅いスウィーニーが(ベンチにいたのに)僕の1番近くにいたのに驚きましたね」
 ――サヨナラ打の味は?
 「味かいな…何やろね。あれで終わってるわけだから、もちろん気持ちがいいものだし。でも、その後は対策を考えているわけで。あすへの対策をあの輪の中で考えるという、不思議な感じではあるわ」
 ――打球が落ちた瞬間に輪の中でケガしないことをすぐに考えたのか?
 「いや、輪になるかどうか分からないですから。そんなことは考えない。とにかくスウィーニーの位置に驚いた。それしかない、第1印象は」
 ――連続カーブで次の球が絞りやすくなった?
 「ないですね。どっちかには絞れないもん」

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2009年7月30日のニュース