横浜の69発男・筒香…敬遠に泣き、サヨナラで散る

[ 2009年7月27日 06:00 ]

<横浜隼人・横浜>9回1死二、三塁、勝ち越しのチャンスで一ゴロに倒れた横浜・筒香嘉智は悔しそうにヘルメットを脱ぐ

 【神奈川・横浜9―10横浜隼人】高校通算69発の男の夏が終わった。全国高等学校野球選手権(8月8日開幕、甲子園)の神奈川大会準々決勝は26日、横浜スタジアムなどで4試合が行われ、昨夏甲子園4強の横浜は延長10回、横浜隼人にサヨナラ負け。今秋ドラフト上位候補の筒香(つつごう)嘉智内野手(3年)は2敬遠など4打数無安打に終わった。試合後、注目の進路について自らの言葉でプロ入りの意思を表明した。

 最後の夏はサヨナラ負けで幕を閉じた。延長10回2死二塁、ライナー性の打球にダイビングキャッチを試みた右翼手・長谷川のグラブから白球がこぼれると、筒香は三塁ベース付近にしゃがみ込み、しばらくの間動けなかった。「やっぱり悔しい。チームのみんなに申し訳ない気持ちでいっぱい」。主将の目には涙がたまっていた。
 期待された通算70号は不発。高校生活最後の試合は4打数無安打と快音は響かなかった。一時の6点ビハインドから4点差まで追い上げた8回2死一、二塁では、この試合2度目の敬遠で歩かされた。いつもは冷静沈着な男が、珍しく感情むき出しに相手ベンチをにらみ続けた。「ヤジもあったけど…勝負してもらいたかった」
 気持ちの揺れは力みにもつながる。9回に4点差を追いつき、なおも1死二、三塁の勝ち越し機で一ゴロ。延長10回も自ら一塁悪送球がサヨナラ負けのきっかけとなった。これまで松坂(レッドソックス)、涌井(西武)ら超高校級と呼ばれた選手を数多くプロに送り込んできた渡辺監督は「敬遠で冷静さを失っていた。悪送球はそれが影響した。筒香も最後は人間だったということ」と深く息をついた。
 4強に進出した昨夏甲子園。2年生4番として活躍した筒香は聖地の土を持ち帰らなかった。もう一度、その場所に戻るつもりだった。今年3月にチームが購入した160キロまで対応できる打撃マシンで打ち込み、さらにスケールアップ。今夏も2回戦、3回戦でアーチを架け、通算18打数9安打10打点。しかし、甲子園まであと3勝だった準々決勝の大事な場面で打てなかった。
 試合後、注目の進路について筒香は「プロでやりたい気持ちはある」と今の気持ちを素直に言った。もちろん課題はたくさんある。「すべてにレベルアップしないといけない」。高校屈指のスラッガーは次の舞台を見据えた。

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2009年7月27日のニュース