NPB主導で魅力アップを!プレーオフ改造が必要だ

[ 2009年7月27日 22:09 ]

 日本野球機構(NPB)が赤字体質に陥る危機を迎えている。昨年(9月期決算)は5億8千万円の赤字を計上した。ことしも、昨年の日本シリーズが最終第7戦までもつれ、今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝賞金がありながら、2億円超の赤字になりそうだ。

 税務当局が、審判・公式記録について収益事業であるとの新しい考え方を打ち出した。この結果、審判員・公式記録員の賃金が必要経費扱いされなくなったのが主な要因で、現状では毎年約3億円の赤字が見込まれる。
 NPBではセ、パ両リーグの会長ポストを廃止し、コミッショナー事務局と合わせた3局の統合を実現して、組織のスリム化は進めてきた。しかし、この程度の努力ではとても埋め合わせできないほど、収支のマイナスは大きい。
 状況の打開を目指し、各球団から徴収している7100万円の年会費について、オーナー会議を開き、大幅に引き上げたい考えを伝えた。しかし球団側の抵抗は強かった。会議では、負担増の明確な根拠の欠如が指摘され、逆にさらなる経費圧縮の検討を求められた。
 プロ野球は若い年齢層のファンが減少し、各球団のスポンサー確保の環境は厳しさを増す。
 ではNPBはこれからどうすべきか。オーナー会議では、プロ野球は「日本の宝」との共通認識と、魅力ある試合をつくり出す必要性を確認した。この意味は大きい。
 プロ野球で最も魅力がある試合は、日本シリーズだ。これに直結するプレーオフは、その潜在的な魅力をまだフルに発揮していない。球団のエゴが幅を利かせ、試合方式が変則なため、わずかな収益しか上げていない。
 どうしたことか、プレーオフはNPBの運営ではなく、これに進出する上位球団の独自運営となっている。競技方式もセ、パ両リーグとも、対戦する2チームの上位チームが、戦う前から1勝を与えられるいびつなものだ。ファンをウキウキとさせる本拠と敵地の行き来もない。
 まず分かりにくい競技方式を全面的に見直すべきだ。その上で第1ステージを5戦(3戦先勝)制に、第2ステージを7戦(4戦先勝)制にし、より多くの試合を組んではどうか。
 セ、パのプレーオフを同時進行させつつ、各日の試合開始時間については、一方をデーゲームに、もう一方をナイターにするなど、完全なバッティングを避ける工夫があってもいい。
 NPBがポストシーズンのすべての運営権を一手に握り、多額のスポンサー料と放映権料を得て大きな収益を確保し、これを各球団に分配する。この構想を現実的な計画としてまとめ上げることが、プロ野球の魅力を飛躍的に高める上で絶対に欠かせない。(共同通信編集委員 竹内浩)

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2009年7月27日のニュース