ハム練習着!湘南・松本が借り物ユニホームで優秀賞

[ 2009年7月24日 06:00 ]

<全ウ・全イ>3回2死二塁、全イの湘南・松本啓二朗が中前に先制タイムリーを放つ

 【全イースタン7―0全ウエスタン】松本が湘南のユニホームに袖を通したのは試合終了後のお立ち台だった。それすらもファンからの借り物で、背番号も名前もなかった。先制打を含む2安打1盗塁1得点で堂々の優秀選手賞。バツが悪そうな表情も仕方がなかった。

 「試合前にハプニングがあって道具が届かなかったけど、いい形でとらえていい結果になった。気持ちは落ち着かなくて打てたのが不思議。でも打てて良かったです」
 運送会社の手違いで湘南の選手、コーチ陣のユニホーム、用具類が球場に届かないトラブル。急きょ日本ハムの練習用ユニホームを拝借して試合に臨んだ。1番・中堅でフル出場した松本は、日本ハム・稲葉が使用しなくなったグラブを借りたが試合前練習では「全然球が捕れない。全身、借り物。完全に笑いの種ですよ」と肩を落としていた。スパイクは同サイズの27・5センチのものを拝借。バットは「普段とメーカーも重さも違うけどこれを使えと言われて…。それしかないんで使うしかなかった」。昨年ドラフトでは日本ハムも獲得に興味を示していた松本。思わぬ形で日本ハムのユニホームで札幌デビューしてしまった。
 湘南のユニホームは球場売店にもなく、探し回った主催者側が左翼席のファンから借りた。表彰式後、松本は丁寧にサインした革手袋とともに返却した。「結果が残せなければ“忘れました”で終わり。少しは野球で結果を残せたからいいけど…」。私服に着替えても心からの笑顔はないまま球場を後にした。

 ◆松本 啓二朗(まつもと・けいじろう)1986年(昭61)6月24日、千葉県生まれの23歳。千葉経大付3年センバツで東北のダルビッシュに投げ勝ち、4強進出。早大で野手転向して、4年秋に首位打者に輝くなど大学通算105安打。昨秋ドラフト1位で横浜入り。開幕の中日戦(ナゴヤドーム)で球団史上38年ぶりの新人スタメンを飾る。父・吉啓氏は76年夏、桜美林のエースで全国制覇。千葉経大付監督で甲子園は“父子鷹”で出場した。1メートル80、78キロ。左投げ左打ち。

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2009年7月24日のニュース