スカウトたまげた!菊池、セットで150キロ

[ 2009年7月24日 06:00 ]

<盛岡中央・花巻東>2失点したものの、5安打10奪三振と力投した花巻東・菊池雄

 【花巻東14―3盛岡中央】春夏連続出場へ王手をかけた。今センバツで準優勝した花巻東の菊池雄星投手(3年)が23日、全国高校野球選手権岩手大会準決勝の盛岡中央戦に先発した。2回に今大会初失点を喫するなど7回で2失点したものの、自己最速タイの152キロをマークするなど10奪三振の力投。ネット裏に駆けつけた日米14球団のスカウトを感嘆させた。また埼玉大会では春日部共栄が中村勝投手(3年)の3安打完封の好投もあり準々決勝に駒を進めた。24日は岩手大会の決勝を含む31大会127試合が行われる。

【試合結果


 しゃく熱の太陽の下、菊池がマウンドで雄叫びを上げた。今夏最長の7回を投げ、5安打2失点10奪三振。点差が開き、お役ご免となったが、超満員4500人の観衆は82球の快投に酔いしれた。
 「序盤は球が走らなかったけど最少失点で抑えたから80点」。昨夏準々決勝で敗れた盛岡中央相手に初回、3番・照井の5球目に今大会2度目の自己最速タイ152キロをマーク。2、4回に外角を狙われて失点したが、佐々木監督に「もっと強気に内角を突け」としっ責されると、6回には11球中10球が直球勝負で3者連続三振に仕留めた。
 この試合も日米14球団のスカウトが視察に訪れたが、菊池の凄さは走者を背負った時により際立つ。この試合ではセットポジション時の最速は150キロを計測した。ロッテ・松本シニアスカウトも「高校生は普通セットで4、5キロ球速が落ちる。体が柔らかい。プロでもセットで150キロを投げる左投手はそうはいない」と絶賛。高校生離れした関節の柔らかさと腕のしなりが、コンパクトなフォームからも爆発的な快速球を生み出す。
 前日22日に今春センバツ決勝で投げ合った清峰・今村が長崎大会8強で姿を消した。決勝で敗れた時、菊池は「野球の神様が自分にはまだ早いと言っている」と号泣し、それ以来、今村を目標に掲げ、野球だけでなく、人間形成にも励んできた。花巻市内の同校練習場横にある公園でキャッチボールをする時は散歩中の高齢者の激励に深々と頭を下げ、少年の握手攻めにも嫌な顔一つせずに応じる。その姿にナインも「有名になってもテングになる様子は一切ない」と感服する。“野球の神様”に認められるために、菊池はグラウンド外でも成長した姿で甲子園に戻ってくる決意だ。
 ライバルの敗退に佐々木監督から「あすはわが身だぞ」と諭された左腕は「今村とは投げ合いたかったけど…。一戦一戦に集中する」と気を引き締めた。あと1勝。菊池の夏はこれからが本番だ。

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2009年7月24日のニュース