まさか、まさか、今村が消えるなんて…

[ 2009年7月23日 06:00 ]

<長崎日大・清峰>長崎日大に破れ涙ぐむ清峰エース・今村猛

 第91回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は22日、39大会で213試合を行った。46年ぶり皆既日食の影響を受けた九州地方は、午前中の試合から照明を点灯する球場も多かった中、長崎大会で今センバツ優勝の清峰が準々決勝で敗れる波乱があった。今秋ドラフト1位候補の今村猛投手(3年)は6安打3失点完投も実らず、姿を消した。23日は39大会で173試合が行われる。

 【長崎・清峰1―3長崎日大】背番号1はネクストバッターズサークルでしばらく動くことができなかった。まさかの敗戦。マウンドではひたすら冷静だった今村の目からは、熱い涙がとめどなくこぼれ落ちた。
 「またみんなで甲子園に行きたかった。自分のせいで負けて申し訳ない…。3年間の楽しかった思い出が頭をよぎり、涙が出てきた」
 午前10時開始の試合。皆既日食の影響で試合中に照明が点灯された。独特の雰囲気に包まれた球場で、今村が輝きを失った。初回でつまずいた。1死から振り逃げと暴投。今センバツ5試合でわずか1失点、今夏長崎大会もここまで無失点の右腕を支えてきた制球が乱れた。1死一、三塁として長崎日大・本多晃に先制2点二塁打を許した。「初回の連打でリズムを崩した。打たれすぎました」と今村。許した6安打すべてが2球目以内。焦ってストライクを取りに行った球をことごとく狙い打たれた。8回3失点。悔いが残る投球で、史上6校目の春夏甲子園連覇の夢は断たれた。
 吉田監督は「春に勝ったチームが夏に勝つのは難しい。プレッシャーではない。ベストを尽くして負けた」と今村を責めなかった。長崎勢として甲子園初優勝を果たして一気に注目された。心身の疲労を訴えて、長崎に戻ってから約1カ月を休養に充てた。万全の状態で夏に照準を合わせた右腕だったが、他校の厳しいマークを打ち破ることはできなかった。
 センバツ決勝で投げ合った花巻東・菊池と並んで今秋ドラフト1位候補の今村。注目される進路については「まだ決めていません」としたうえで「野球ばっかりしてきたから、友達と遊びたい」とぽつり。46年ぶりの天体ショーの下で散った怪腕は、早すぎる夏の終わりに目を赤くして言った。

 <長崎・長崎日大 積極打法で攻略>ボールになるスライダーをしっかり見極め、ストライクは初球から振っていく積極打法でセンバツV腕を攻略。99年に沖縄尚学を率いてセンバツで優勝した金城監督は「チームが力をつけてきた」と今村討ちにニンマリだった。投げては大瀬良が4安打1失点完投。指揮官は「最後までよく低めに投げてくれた」とエースを称賛していた。

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2009年7月23日のニュース