おかわり球宴前に30号!日本記録ペースだ

[ 2009年7月13日 06:00 ]

<西・オ>2回無死、中村剛也が30号アーチを放つ

 【西武3―2オリックス】バットを持ったまま、中村は打球の行方を追っていた。打球は左中間へグングンと伸び、西武ドームの屋根と外野席のすき間を通り抜け、外周通路に着弾。跳ねたボールはさらに奥の芝生まで転がっていた。推定150メートル。6月6日の横浜戦の横浜スタジアムに続く場外弾だが、本拠地では自身初めてだった。

 「ど真芯でした。場外?いやー記憶にないです。実は金属バットだったんです」。ジョークでおどけた姿が中村の“満腹ぶり”を物語る。球宴前に、自身初となる両リーグ30号一番乗り。「遅くもなく早くもない」と話すが、西武の日本人選手では、91年秋山幸二(現ソフトバンク監督)以来18年ぶりだ。2回の先頭打席。4球連続フォークで2―2と追い込まれたが、5球目のシュート回転した直球を「今年は失投を逃す確率が減った」と思い切り振り抜いた。
 150メートル弾はバットと無関係ではない。練習ではメープルを使用。硬い素材で反発力が高く、多少芯を外しても気持ちよく遠くに飛ばせるからだ。だが、試合では軟らかい素材のアオダモにこだわる。中村は手首を柔らかく使い、バットに乗せて運ぶタイプ。しなりの効くアオダモの方が合っており、中村を担当するスポーツメーカー・SSKの小笠原勤氏(34)は「完ぺきに芯を食った場合は、しなりがある分、メープルよりアオダモの方が飛びます」と分析。この日の場外弾はまさにその通りだった。
 2連勝で今季最多タイの貯金3。渡辺監督は「先制されたが、すぐに打ってチームに勢いを与えてくれた」と4番を称えた。144試合に換算すると、ちょうど日本記録の55本ペース。「計算しないでください」と、一瞬ムッとした中村だが、すぐに笑顔に戻った。手応えがあるからだ。

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2009年7月13日のニュース