由規の熱投甲子園!聖地で燃えて5勝目

[ 2009年7月5日 06:00 ]

<神・ヤ>7回を3失点の力投、笑顔の由規(右)

 【ヤ6-3神】青春の“聖地”で燃えた。ヤクルト・由規投手(19)が4日の阪神9回戦に先発。仙台育英3年時の全国高校野球選手権の2回戦・智弁学園(奈良)戦以来、689日ぶりに甲子園のマウンドに立ち、MAX156キロで7回を3失点(自責2)に抑える力投。今季5勝目を飾ると同時に、チームの連敗を4で止めた。チームはリーグ戦再開後ようやくの2勝目だが、いずれも由規が挙げたもの。巨人追い上げに向け、後半戦のツバメのエースは君だ。

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 ほおをなでる浜風が懐かしい。帰ってきた。由規が思い出のいっぱい詰まった“聖地”でプロ入り初登板。7回3失点の熱投で、自身3連勝を飾った。「楽しみにして来たので、うれしかった。(オーロラビジョンで)満員御礼の文字を見た時、前に投げた時も満員だったので、当時のことがフラッシュバックして結構興奮した」
 仙台育英3年夏の07年8月15日。2回戦の智弁学園戦で156キロを計測して以来の甲子園のマウンド。2年がたっても、うなりを上げる剛速球は変わらない。直球61球中23球が150キロを超え、3点リードの5回2死では関本への3球目でこの日最速156キロをマーク。観客の熱い記憶を呼び起こした。
 同時に「ピンチの場面でも冷静に投げられたと思う」と成長の跡もしっかり見せた。球は速いが四球で乱れた高校時代。3回2死満塁では慌てることなくブラゼルを空振り三振に仕留めた。6回は先頭打者が失策で出塁し、金本に2ランを被弾。なおも1死一塁となって荒木投手コーチがマウンドへ向かった。指示が出されると思いきや、意表を突いて「鼻、黒いぞ」。由規の鼻の頭に、グラブの革の黒色が付着していた。これでリラックスした19歳右腕は鳥谷を二ゴロ併殺打に仕留め、窮地を脱した。そのグラブこそが成長の証。仙台育英時代からミズノの高津モデルを使用していたが、体、手の成長、技術の向上とともに再三改良。現在では「原形とは全く違うものになっている」(ミズノ担当者)ほど由規は進化している。
 ただ課題はまだある。初回1死一、三塁から金本に先制の中犠飛を許したのは139キロの直球。この日の最速156キロとは17キロ差だ。荒木投手コーチは「球速にばらつきがあるのは、ちゃんと(体重が)乗っているか乗っていないかの違い。無駄な動きがまだある」とさらなる高みを求めた。
 前回登板の6月27日巨人戦ではチームの東京ドーム連敗を9で止め、今回はチームの連敗を4で止めた。今季5勝目。95年平井(オリックス)以来となる高卒2年目の2ケタ白星と新人王が視界に入ってきた。仙台市の実家に置いた甲子園の土の横に、新しい勲章が並ぶ日も近い。

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2009年7月5日のニュース