石井一 レオ投救った今季最長8回1失点

[ 2009年7月5日 06:00 ]

<楽・西>勝利投手の石井一は、サインボールをスタンドに投げ込む

 【西3-1楽】痛い目に遭ったことは覚えていなかった。03年9月21日のドジャース対ジャイアンツ。その2回にメジャー初本塁打となる逆転3ランをぶちこまれた相手が打席に立っていた。楽天6番のリンデン。覚えていないんだから恐怖も感じなかった。

 「全然覚えてません。一応周りから教えられたんで警戒はしましたけど…(笑い)。ジャイアンツにいたんですか?バリー・ボンズなら覚えてますけど」。2回の第1打席こそ四球を与えたが、4回2死二塁では142キロの直球で遊ゴロ。7回も143キロの直球で中飛に仕留め、6年前のリベンジを果たした。
 リンデンに対してだけではない。この日は「うまく変化球でかわせた」とピンチを招いても得意のスライダーで後続を断った。終わってみれば今季最長の8回を投げ4安打1失点。6月6日の横浜戦以来、28日ぶりの4勝目を挙げた。
 久しぶりの白星は“カブトムシの恩返し”だったかもしれない。6月中旬の投手陣練習に、愛息の幹大君(7)が飼っていたカブトムシをプラスチックケースに入れて持参。「もう3、4年も飼っていたんで、そろそろいいかなと思って自然に返しました」と西武第2球場の自然豊かな山奥に放したのだった。
 中継ぎ、救援陣の崩壊で苦戦が続く昨季の日本一チーム。その中、石井一はベテランらしく「今はチームが苦しいときなので、きょうは少しでも長く投げたかった」。一方でかつての恩師・野村監督には「74歳になられて勝てないですけど、お元気ならそれでいいです」と心憎いばかりの優しきエールを送った。これでチームは単独3位に浮上。渡辺監督も「気持ちが入った投球をしてくれた。2回以降は無失点で、野手の(攻撃の)リズムもつくってくれた」と“最敬礼”だった。

 ▼楽天・野村監督 石井一は全盛期に比べれば力は落ちたが、その分制球が良くなったな。

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2009年7月5日のニュース