イチロー今季初“3冠”お見事バント安打

[ 2009年6月15日 06:00 ]

<マリナーズ・ロッキーズ>7回、投前にバント安打を決めるイチロー

 【マリナーズ3―5ロッキーズ】マリナーズのイチロー外野手(35)が13日(日本時間14日)のロッキーズ戦で2安打し、今季通算85安打でリーグ単独トップに浮上。打率(・357)、複数安打試合数(27)を含め、今季初めて“3冠”に立った。連続試合出塁のメジャー自己記録も42に更新し、ジマーマン(ナショナルズ)が記録した今季メジャー最長の43試合へあと1。数々の記録はイチローに破られるためにある。

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 安打ゾーンを自らの手で広げる。今のイチローなら、それも可能だ。7回2死で迎えた第4打席。先発マーキーが投じた初球、外角直球のボール球にイチローはバントの構えをみせた。だが、三塁手・スチュワートは定位置から動かない。続く2球目、確実に三塁線へ転がし、バント安打で出塁した。
 「本当はサードの方がいいわね」。イチローは三塁手が動かず、投手が捕ったことが納得できない様子だった。だが、三塁手は動かなかったのではなく、動けなかったのだ。スチュワートは「マーキーとの話し合いでバント安打はあきらめても、内野安打は打たせたくなかったということ。もうお手上げ状態だ」と明かした。伏線は5回の安打。三遊間への内野安打で出塁して、それが得点に結びついた。その時の嫌な流れが脳裏にあり、前に出ることを控えた。1本の安打が次打席の相手の守備位置に影響を与える。この日奪った2本目の内野安打はイチローだからなし得た。
 これで安打数は85本となり、リーグ単独トップ。さらに打率、複数安打回数もリーグ1位で、今季初めて3部門でトップに立った。今季メジャー最長の43試合にあと1と迫り、さらにその先にはマリナーズの球団記録となる47試合(84年=デービス)が待つ。「打率を上げるということより、下がらない状態を早くつくる。そのためには(数多く)打席に立つしかない。そうするとヒットを打つしかないという順番になる」――。イチローの“理論”だ。
 守備でも7回に右中間への飛球を背走し、好捕した。01年以来のクアーズ・フィールドでの試合、さらに悪天候で2日連続で試合前練習ができずに臨んでの好守だった。高地にあるため気圧が低くボールが飛ぶ同球場で「伸びてくるというか落ちてこない感じ。ぎりぎりでした」。チームが拙攻拙守で連敗を喫する中、イチローは攻守で光り続けている。

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2009年6月15日のニュース