魅せた幻惑投法!ユウキ664日ぶり勝利

[ 2009年6月7日 06:00 ]

<ヤ・楽>6回途中でマウンドを降りたユウキ。後続を松岡が1点に抑えベンチの中でガッツポーズ

 【ヤクルト5-1楽天】地獄を見たからこそ、再び笑える日が来た。昨秋、オリックスから戦力外通告されたヤクルト・ユウキが5回1/3を3安打1失点。育成枠から支配下登録された登板3試合目にして、07年8月12日のソフトバンク戦(京セラドーム)以来664日ぶりの復活白星を挙げた。

 「白星で喜び?いや、普通ですよ。復帰することが一番だったから。とにかく勝たないと生き残れない。ラストチャンスだと思っていた」
 オリックス在籍時の昨年2月、右肩後方関節唇損傷手術を受けた。リハビリ中の10月に戦力外通告。自宅に帰れず、場外競艇で日が暮れるまで時間をつぶした。11月の12球団合同トライアウト(広島)受験へ向け、ニューボールを1ダース購入して練習。140キロ超を記録してヤクルトから声が掛かった。
 5月15日の阪神戦(神宮)の復帰登板から2試合は0勝1敗。今回は前2試合で封印した100キロ前後のスローボールをノーサインで多投。最速146キロをマークした直球に多彩な変化球で緩急をつけ、近鉄時代から“師匠”と慕う日本ハム・吉井投手コーチが「ロレックスのパチモンを売る悪徳商人のようだ」と評する幻惑投法で魅せた。
 「勝敗予想した人は9割以上が楽天が勝つと思ったでしょう。番狂わせです」。近鉄、オリックスを渡り歩いた苦労人が、球界再編でその2球団の選手が中心となった楽天を相手に復活。いまや日本を代表する投手となった近鉄時代の2学年下の後輩・岩隈に投げ勝った。
 戦力外通告時は由佳夫人のおなかにいた長女・美羽(みう)ちゃんは5カ月。神戸市内の自宅に残し、現在は埼玉・戸田寮で単身赴任中だ。チームは連勝で交流戦の勝率を5割に乗せた。「どんどん勝って巨人を追いかけます」。活躍すればするほど、東京へ妻子を呼び寄せる日が近づく。

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2009年6月7日のニュース