史上初の快投!涌井、毎回&全員から12K

[ 2009年4月25日 06:00 ]

<西・ロ>快投した涌井秀章

 【西武3―1ロッテ】涌井が史上初の快投だ。西武の涌井秀章投手(22)は24日、ロッテ戦で自己最多となる毎回の12三振を奪い、1失点完投で3勝目を挙げた。過去に松坂(現レッドソックス)ら3人しか達成していない全員三振を記録したが、毎回三振での達成は史上初の快挙。164球の熱投でチームの連敗を2で止め、5割復帰に導いた。

【試合結果


 小雨が舞い、底冷えがする西武ドームの駐車場。涌井は「風呂上がりで熱いから」と半袖姿で現れた。風呂場では銀仁朗の頭にボディーソープをかけて遊ぶなどまだまだ余力は十分。完投勝利で火照った体に所沢の冷気が心地よかった。
 「珍しく気合が入ってました。相手(唐川)は年下なんで負けられないな、と思いました。みんな疲れていたんで早く試合を終わらせたかった」。今季リーグ最短試合の2時間26分にまとめ、笑顔を見せた。
 164球を投げ12奪三振はともに自己最多。しかも史上初の毎回&全員三振のおまけ付きだ。その快挙を呼び込んだのは伸びのある直球だ。4回、井口を144キロ直球で、2死二塁からはサブローをこの日最速の145キロ直球でともに空振り三振に仕留めた。バッテリーを組んだ銀仁朗も「ストレートがエグかったんで」と直球主体の組み立てで勝負。12三振中、直球で奪った三振は6。全164球のうち、直球は74球を占め、140キロ台に達しなかったのはわずか3球だけだった。涌井も「直球で狙って取った三振が多かった」と手応えを口にした。
 一昨年、昨年と「直球のスピードが出ない」と悩んだ時期もあった。今季のテーマは「制球をあまり意識せず、強く腕を振ること」。腕を強く振るために下半身を徹底した走り込みで鍛えた。WBC期間中も与田投手コーチが「ワクが一番よく走っていた」と感心。下半身は一回り大きくなり、昨年12月のハワイ優勝旅行で買ったジーンズの左ひざの部分が座ったと同時に破れてしまったほど。「これじゃあダメージ・ジーンズですよ」と苦笑いするしかなかった。
 渡辺監督も「まさにエースの投球」と最大級の賛辞を贈る。チームを5割に復帰させる好投にも涌井に慢心はない。「たまたまですよ。もっと省エネしなと。次にどう影響が出るかです」。若きエースが追い求める究極の理想はまだかなたにある。

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2009年4月25日のニュース