絶叫エース菊池“1人ビンタ”で決勝進出!

[ 2009年4月2日 06:00 ]

<利府・花巻東>8回1死二、三塁、スクイズを決めた花巻東エース菊池は“ヤッターッ”。決勝進出を決めた9回も“ヤッターッ”

 2日の決勝はプロ注目の東西の剛腕対決となった――。第81回「センバツ高校野球」第11日は1日、甲子園球場で大会史上初の“みちのく対決”となった準決勝が行われ、花巻東(岩手)の菊池雄星投手(3年)が2失点完投で岩手県勢初の決勝進出を果たした。また清峰(長崎)の今村猛投手(3年)も9奪三振の力投で1失点完投。花巻東、清峰のどちらが勝っても、県勢としての初優勝となり、甲子園に新たな歴史が刻まれることになる。

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 【花巻東5―2利府】見る者をあ然とさせる光景だった。8回2死。ここで突然、マウンド上の菊池は自らのほおを左手で張った。「気合を入れるためにビンタしました」。勝利目前でピンチを招いた準々決勝の南陽工戦を思い出した。鬼の形相で次打者を空振りの三振に仕留めると、9回も無失点。岩手の歴史を塗り替えた菊池はマウンド上で歓喜を爆発させた。
 「甲子園に来てから一番苦しい試合でした。最後は握力も落ちてしまって…。でも気持ちを出していこうと。ここまで来たら岩手に優勝旗を持って帰りたいです」
 怪腕も人の子だった。序盤からボールが先行。持ち前のテンポの速さも影を潜めた。3回1死二塁では利府の遠藤に外角高めの直球を右翼席に運ばれ、今大会25イニング目にして初失点。「内角に投げようと思った球が浮いてしまいました」。3回までのMAXは143キロ。疲労は隠せなかった。
 それでも自分のバットで自分を助けた。1点を追う6回2死満塁。「絶対に自分が取り返す」と逆転の2点適時打を中前に運んだ。そして8回にはダメ押しのスクイズも決めた。「自分が打ったことでさらに気持ちが乗った」と6回以降は1安打しか許さなかった。
 菊池を最後まで奮い立たせたのは、第1試合ですでに決勝進出を決めていた清峰・今村の存在だった。直接言葉を交わしたことはないが、大会前のメディカルチェックの際、「ガッチリしているし落ち着いている。自分と同じタイプ」と遠目に今村の姿を確認していた。「それ(今村と投げ合うの)が一番の楽しみ」と言い切った。
 きょう2日の決勝戦は岩手県ばかりか東北勢として初の優勝が懸かっている。「中学生の頃から東北に初めて優勝旗を持ってくるのが目標でした。疲れはあるが、絶対に勝ちたい。体が壊れてもいい」。優勝を決めた瞬間は、いつもより派手に左手人さし指を天に向かって突き上げる“No・1ポーズ”で締めることももう決めている。

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2009年4月2日のニュース