キューバの“秘密兵器”快投!次は日本戦濃厚

[ 2009年3月12日 06:00 ]

キューバの“秘密兵器”チャプマン

 【キューバ5-4オーストラリア】キューバの“秘密兵器”がついにベールを脱いだ。WBC1次ラウンドB組は10日(日本時間11日)、前回大会準優勝のキューバが5―4でオーストラリアに逆転勝ちし、2次ラウンド進出を決めた。アロルディス・チャプマン投手(21)が先発し、161キロをマーク、4回を7奪三振の3安打1失点に抑えた。チームが1位通過すれば、2次ラウンドでは15日(同16日)の日本戦での先発が濃厚。連覇を狙う侍ジャパンには脅威の存在となる。

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 日本への刺客が鮮烈な“デビュー”を飾った。1メートル93の長身左腕、チャプマンが腕を振り下ろすたびにスタンドからはどよめきが起こった。昨季12月の国内リーグ戦で記録したキューバ最速の102マイル(164キロ)には届かなかったが、この日も100マイル(約161キロ)を記録。4回に1点こそ失ったが、7奪三振とその名を世界に知らしめるには十分すぎる内容だった。
 「両チームともグラウンドですべての力を出し切ったし、最高の試合だった。球速もよく出ていたとは思ったけど、自分の中では97マイル(156キロ)ぐらいの感覚。そうしたら100マイルも出ていた。本当に気付かなかったよ」
 噂以上の投手だった。まだ21歳。国際大会出場も07年にブラジルで開催されたパン・アメリカン大会と昨季台湾で開かれたW杯のみ。北京五輪メンバーからは最終選考で漏れている。しかし、89奪三振で今季国内リーグ三振王(現在中断中)はダテじゃなかった。この日も67球中45球で150キロ以上を計測。160キロ以上も3球を数えた。チャプマンは試合後「スピードは自分の投球の一部。変化球の精度なども上げていかないと」と反省を口にしたが、敵将のディーブル監督は「間違いなく、今大会最優秀投手候補の1人」と称賛するしかなかった。
 チャプマンは05年に国内リーグ「セリエ・ナシオナル」に、オルギンの一員としてデビュー。1年目は3勝5敗、防御率4・33だったが、翌年は4勝3敗7セーブ、防御率は2・77でリーグ1位の100奪三振を記録した。昨季の台湾W杯では準決勝での日本戦に先発し、8回を11奪三振の3安打1失点。同大会の最優秀左腕にも選ばれた。
 試合後はまるで優勝したかのように国旗を手にグラウンドで大騒ぎしたチャプマン。先発が有力視される15日の日本戦に向け、21歳の新星は「われわれは常に自信を持っている。いつでもベストの力を発揮できる」と不敵に笑った。

 ◆アロルディス・チャプマン(Aroldis Chapman)1987年9月11日生まれの21歳。オルギン所属。05~06年シーズンに国内リーグ「セリエ・ナシオナル」デビュー。06~07年は100奪三振でタイトルを獲得。昨年12月20日のラス・トゥナス戦ではキューバ最速記録となる102マイル(約164キロ)を記録した。今季はここまで12試合に先発し6勝1敗、防御率3・75。89奪三振は現在1位。1メートル93、81キロ。左投げ左打ち。

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2009年3月12日のニュース