王さん「星野氏以外」「現役監督」もOK

[ 2008年10月21日 06:00 ]

 第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表監督で、コミッショナー特別顧問を務める王貞治氏(68)が20日、マリナーズ・イチロー外野手(34)の発言に理解を示した。イチローは前日、現役監督の代表監督就任は難しいとの流れに苦言を呈したが、王氏はその発言が今後に影響を及ぼす可能性も示唆。星野仙一氏(61)の就任が決定的となっていた次期監督問題は再び混迷しそうな雲行きとなってきた。

 海の向こうからの“苦言”に、真しに耳を傾けた。この日、王氏は福岡市内の地元テレビ局を回り、ソフトバンク監督退任あいさつを行った。その際、イチロー発言に触れ「彼の言うことは、彼の立場からしたら十分によく分かる。確かに現役の選手が出るのに、現役監督うんぬんというのはまともな話だ」と理解を示した。第1回WBCでは監督と選手として世界一に。イチローの野球、そして日の丸へのこだわりを肌で感じただけでなく、本人から大きな信頼も得ている。影響力も十分に承知している。だからこそ発言を重く受け止めた。
 それだけではない。27日の第2回会議に向け「そういう話も出てくると思う。彼(イチロー)の発言で(今までと)変わった提案が出るかもしれない」と明言。現役監督は難しいなどとした、これまでの流れが大きく変わる可能性を示唆した。現状では星野氏の次期監督就任が有力。その大勢がイチローの言葉で覆るかもしれない。自身は現時点ではWBC出場に前向きとされる。とはいえ今後の決定次第で仮に出場辞退となれば、精神的支柱を失った代表チームの痛手は計り知れない。
 最初に結論ありき、と思われても致し方ないような15日の体制検討会議での議論。王氏自身もこの日、星野氏を候補の1人に挙げたことを明かした。「戦い慣れているし(北京五輪の)反省点もある。そう(星野)だろうという話はした」。その一方で「でもイチロー君のような考え方もなるほどね、と思う。出る選手からしたら当然の話」と付け加えた。先入観を捨て、あらゆる選択肢から監督を選ぼうというのが会議における基本方針。現場の声にこそ、求めていた答えが潜んでいる場合もある。
 残された時間は多くはない。当初は27日の会議で監督決定――の青写真だったが、イチロー発言の影響力は大きい。王氏も「必ずしも27日(に結論が出る)とは断言できない。いろいろと話して結論が出なかったら、近いうちに集まったりしてね」としており、最終結論が11月にずれ込む可能性もある。現役監督案は再浮上するのか。全国のファンがその行方に注目している。

 <加藤コミッショナーも現役「排除していない」>加藤コミッショナーはイチロー発言について「報道で見ました」とした上で「私としては手順は決まっている。27日の第2回会議の議論を踏まえ、今月中には決定しなくてはならないと思っている。その判断の責任は私にある。いいかげんな結論になるとは思っていない」と語った。また現役監督の代表監督就任をめぐる論議には「王さんがやればいいという世論はつとにある。その王さんが“現役の人がやるのは大変だから”と言われているからといって、排除するという決定はしていない」とし、野村監督が内容を“暴露”したことに関しては「発言を紹介することは差し控えたい」とかわした。

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2008年10月21日のニュース