鳥谷 岡田監督に贈る2発!虎が逆王手

[ 2008年10月20日 06:00 ]

<神・中>2本塁打4打点と活躍した鳥谷(左)をハイタッチで出迎える岡田監督

 セ・リーグのクライマックスシリーズ第1ステージ第2戦は19日、阪神が中日に雪辱。対戦成績を1勝1敗として第2ステージ進出に“逆王手”をかけた。鳥谷敬内野手(27)が2本塁打を放つなど、打線が11安打7点を奪って快勝。今季限りでユニホームを脱ぐ岡田彰布監督(50)にとってはポストシーズン初勝利となった。20日の第3戦(京セラドーム)で勝ったチームが第2ステージ進出。引き分けた場合はシーズン上位の阪神が進出する。

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 一塁ベースを蹴って思わず手を叩いた。超満員の右翼席へと吸い込まれる打球。クールな鳥谷が感情をあらわにした。“終わらせたくない”思いが爆発した瞬間だった。
 「1試合でも多く監督と試合したい。そのためには勝たないと。負けたら終わりというより何とか勝ちたかった」
 夢をつないだのは初回だ。金本の中前打で先制して、なお1死一、二塁。0―1から真ん中へ入ってくる135キロ直球を迷わず振り抜いた。前夜の零敗ショックを吹き飛ばす値千金の3ラン。「金本さんが打ってくれて、余計なことを考えずに打てた」。ミーティング通りにチェンの直球を狙い打ち。この思い切りの良さと勝負強さこそ、岡田監督に求められてきたものだ。
 03年ドラフト。進路を巨人など4球団に絞り込んだ中、阪神逆指名の決め手の1つとなったのが岡田監督の就任だった。早大の偉大な先輩。以来「いいときも悪いときも使い続けてくれた」。昨季終盤は右第9肋骨を骨折。バットを振れる状況ではない鳥谷を、指揮官は首脳陣の反対を押し切ってグラウンドに立たせた。プロの責任感と厳しさを肌で感じた鳥谷は今季、金本とともに全試合フルイニング出場。期待に全力で応えてきた。11日の横浜戦(横浜)前に辞意を聞き「ビックリしました。何が何だか」。突然のことに驚き、残った少ない時間を大切にしようと心に誓った。
 2点差に迫られた6回には先頭打者で右越えソロ。「嫌な雰囲気だったから。あれで息を吹き返したよ」。岡田監督も絶賛した。負ければラストゲームの一戦で2発4打点。ポストシーズンでの阪神の連敗を9で止め、岡田阪神にとっても8戦目にして初勝利をもたらした。
 1勝1敗。勝てば第2ステージへ、負ければすべて終わる。「一発勝負みたいなもの。最後の力を振り絞るだけよ」と岡田監督。鳥谷はこう続けた。「東京ドームで巨人に借りを返したい」。恩師を送る“花道”はまだ先まで続いていると信じている。

 <アニキが口火打>先制点をもたらしたのは4番・金本だ。初回1死一、二塁からチェンの直球を中前へ。第1戦で無得点に終わった打線に勢いを与え、鳥谷の3ランを呼び込んだ。金本自身、第1戦は3打数無安打の2三振。敗戦の責任を感じていたに違いない。この日は1安打止まりながら、第4打席の右飛も会心の当たり。試合後は無言だったが、表情は明るかった。

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2008年10月20日のニュース