鈴木尚と代打弾…それはドラマチックな関係

[ 2008年10月14日 21:58 ]

 打球は際どく右翼ポールに当たった――。

 14年前の8月の東京ドーム、プロ4年目の鈴木尚は槙原(元巨人)から代打でプロ初本塁打を放った。しかも満塁弾だった。本人は後に知るのだが、実はこの打席で凡退したら、2軍落ちが決まっていた。
 通算146本塁打の中でポール直撃は数えるほど。「あれが50センチでも右にずれてファウルになっていたら…。その後の野球人生は変わっていた」
 瀬戸際で1軍定着のきっかけをつかむと97、98年は連続首位打者に。ドラフト4位での入団から一気に球界を代表する打者へと駆け上がっていった。
 今年10月3日の中日との試合前だった。戦力外を伝えてきた球団側に現役続行を希望し、再考されることになった。代打で本塁打を放ったのは、その約9時間後だった。球団に結論を変えさせるまでには至らなかったが、初本塁打と同じように、最後の本塁打も輝いていた。

続きを表示

2008年10月14日のニュース